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一緒に立ち上げたブランド、商標の出願は誰の名義にすべき?
友人や家族、ビジネスパートナーと一緒に立ち上げたブランド。
ロゴも名前も決まり、「そろそろ商標出願をしようか」となったとき、ふと気になるのが出願人の名義です。
「全員の名前で出せるのか?」
「将来もめたらどうなるのか?」
「法人を作るまで個人名で出すなら誰の名義にすべきか?」
この記事では、複数人で商標出願をする際の基本ルールと、注意すべき落とし穴について、商標専門弁理士がわかりやすく解説します。
商標は「1人」じゃなくても出願できます
商標法では、出願人として複数人の氏名や名称を記載することが可能です。
これを「商標の共同出願」と言い、登録後は商標権も共有となります。
出願にあたって、何割ずつの権利かという点は別途契約で取り決めておくことができます。この場合は、願書に各人の持分を記載します。
特に取り決めがない場合は、各人の持分は平等と推定されます(民法第250条)。
つまり、2人なら50%ずつ、4人なら25%ずつということですね。
商標を共有名義にした場合の法的効果
複数人で出願した商標は、登録後もそのまま共有の権利として維持されます。
✅ 主な法的な注意点
- 1人だけで譲渡やライセンスはできない(他の共有者の同意が必要)
- 商標を使うときには、他の共有者の同意は不要
- 更新や移転、取消審判の対応なども全員の同意が必要
つまり、共有名義の商標は、単独で自由に扱えないのが原則です。
信頼関係が壊れた場合には、商標の活用が難しくなることもあります。
複数人出願のメリット・デメリット
✅ メリット
- ブランド立ち上げに貢献した複数人で共同所有が可能
- 合意に基づいて商標の権利を管理できる
- 将来的に法人化する場合でも、法人に名義を移すことで柔軟に対応可能
✅ デメリット
- 単独で意思決定ができない
- 分割や譲渡の際にも全員の同意が必要
- 関係性が悪化すると商標が事業の足かせになることも
トラブルを防ぐには事前の取り決めが重要です
共有で出願する場合は、契約書や覚書でルールを定めておくことが非常に重要です。
✅ 合意すべき主な項目
- 商標の持分割合(例:Aが60%、Bが40%)
- 使用ルール(どの範囲で誰が使えるか)
- ライセンスや移転時の意思決定の方法
- 将来の法人化・解散時の商標の取り扱い
書面で取り決めておくことで、後々の誤解や紛争を防ぐことができます。
弁理士に相談するメリット
共有出願は、単独出願よりも法的に複雑な管理が求められます。
商標専門の弁理士であれば、
- 出願時の名義設計(個人/法人、共有/単独)
- 使用・移転・ライセンスに関する契約内容の設計
- 将来の法人化や事業譲渡を見据えた戦略立案
といった支援が可能です。
まとめ|複数人出願は慎重に。信頼+仕組みで守るブランド
- 商標は複数人で出願可能ですが、共有には特有の制約と注意点があります
- 使用や移転、更新など、全員の合意が必要になる場面も多い
- 信頼関係があるうちに、契約や合意事項をしっかり整備することが肝心です
- 不安があれば、商標専門弁理士にご相談ください。将来のトラブルを未然に防ぎましょう