持続可能なブランドコミュニケーションをつくる
「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。
一部の出願人が、出願手数料を支払わずに大量に商標出願する”大量出願問題”。
「PPAP」などでも問題になりましたが、このたび特許庁より、不利益を受けている方のための運用変更が発表されました。
(ご参考:http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/kashi_kougan.htm)
どんな運用変更なのか?これからどうしたらいいのか?
自分なりの言葉でかみ砕きながらまとめました(できるだけ法律用語を使わずに表現しているので、実際の意味と少々異なる場合がございます)。
(大量出願問題については、下記の記事もご参照ください)
・「PPAP」商標問題と自己防衛策
・審査が遅れているのはなぜか?
・同日出願は「運」次第
これまでの運用
・手数料未払いの「瑕疵ある出願」は、出願から4~6か月で却下していた。
・その出願(先願)商標に同一・類似する商標出願(後願)は、先願の却下を待たずに審査開始している。
・先願の却下までに、いったん後願に拒絶理由を通知することもあった。
・先願を却下してから、後願に登録査定を通知している。
今後の運用
・上記の拒絶理由を通知する際、先願が「瑕疵ある出願」だから、却下次第、登録査定するよと示す。
自社の未出願の商標が、先に出願されているのを発見した!どうする?
・その出願(先願)が手数料未払いの「瑕疵ある出願」なら、却下されるのを待つ必要はない(早めに自社の出願をしよう)。
・その先願の手数料が払われたなら、通常通り審査される(その先願が登録されたら、自社が後から出願しても拒絶されてしまうかもしれない)。
・ただし、その先願が、
①業務に使用しない商品・役務(サービス)を指定している場合
②他人の有名な商標の先取りや、第三者の公益的マークの場合
は、登録されない(自社の商標がこれらに該当しないなら、早めに出願にトライしよう)。
まとめ
ようは、「お金払ってない出願は、先願として扱わないように配慮します」ってことです。
運用の変更内容だけ見ると、さほど大きな変更ではないし、根本的な「解決策」には至っていないのですが、「PPAP」のように自社の商標を無断で出願されてしまった!ということが判明しても、諦めなくてもいいということは言えるかと思います。
ただし、原則は「早く出願したもの勝ち」ですし、相手が手数料を払ってしまったら、審査を通って登録されてしまう可能性もあります。
自社で使用している商標は、できるだけ早めに出願することをご検討ください。