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商標が「自己の業務に使用される商標ではない」として拒絶された…どうする?
「商標が『自己の業務に係る商品・役務について使用されるものではない』として拒絶されてしまった…」
「事業で使うつもりなのに、なぜ登録できない?」
「意見書や指定商品・役務の修正で登録できる可能性はある?」
✅ 商標法第3条第1項柱書は、『自己の業務に使用される商標であること』を要件とする規定です。
✅ しかし、適切な対応を取れば、登録できる可能性があります!
本記事では、拒絶理由を覆すための方法、意見書提出のポイント、そして指定商品・役務の修正方法を解説します。
→ まずは、なぜ拒絶されたのかを理解しましょう。
商標法第3条第1項柱書とは?
商標法第3条第1項柱書では、商標登録を受けるためには、その商標が『自己の業務に係る商品または役務』について使用されることが必要とされています。
つまり、出願人がその商標を自身の業務で使用している、または使用する意思があることが求められます。
審査で「自己の業務に使用される商標ではない」と判断される例
1. 指定役務の提供に国家資格等が必要だが、資格の有無が確認できない場合
- 「財務書類の監査又は証明」を指定しているのに、出願人が公認会計士又は監査法人であることが確認できない
- 「医業」を指定しているのに、出願人が医師や医療法人等であることが確認できない
💡 特定の資格や許認可が必要な役務について、出願人がその資格等を有していない場合、自己の業務に使用する商標とは認められず、拒絶される可能性があります。
2. 「小売等役務」に関する指定が不適切な場合
- 個人の出願なのに、「総合小売等役務(衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)」を指定している
- 法人の出願でも、「総合小売等役務」を行なっていると認められない
- 類似関係にない複数の小売等役務を指定している

例えば、「飲食料品の小売等役務」と「被服の小売等役務」を指定して出願した場合、両者は付与される類似群コードが異なるため「類似関係にない」ことから、「商標の使用及び使用の意思があることに疑義がある」と判断され、第3条第1項柱書違反が通知されます。
※「類似群コード」については、こちらを参照してください。
💡 「総合小売等役務」は、大型小売店やECプラットフォームなど、多種多様な商品を取り扱う業態に適用されます。個人や小規模事業者が適切な説明なく出願すると、拒絶される可能性が高くなります。
3. 1区分内の指定商品・役務が広すぎる場合
- 1区分内での商品・役務の指定が広い範囲に及んでいる

原則として、1区分内で23以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定している場合は、「指定商品・役務が広すぎる」ため「商標の使用及び使用の意思があることに疑義がある」と判断され、第3条第1項柱書違反が通知されます。
💡 商標は「指定商品・役務に係る業務で使用する」ことが前提であるため、あまりに広範な指定は「使用しないのでは?」と判断され、拒絶されることがあります。
拒絶理由通知を覆すための3つの方法
✅ 1. 指定商品・役務を削除する
手続補正書により指定商品・役務を削除することで、拒絶理由を解消できる可能性があります。
例:
- 指定役務の中に「医業」が含まれていたが、医師や医療法人等ではないため削除(医師や医療法人等である場合は、資格を証明できる書類を提出すれば、削除しなくても大丈夫です)
- いわゆる「総合小売等役務」と呼ばれる、指定役務「衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を削除
- 「飲食料品の小売等役務」と「被服の小売等役務」を指定して出願したが、「被服の小売等役務」を削除
- 1区分内で23以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定しているため、22以下になるように指定商品・役務を削除
📌 不要な指定商品・役務を削除することで、審査官が「自己の業務に係る商品・役務について使用される商標である」と判断しやすくなります!
✅ 2. 使用意思を明確に示す
まだ商標を使用していないが、将来的に使用する予定がある場合は、使用の意思を明確に示すことで拒絶を覆せる可能性があります。
証明に使用する資料:
- 商標の使用を(出願から3~4年以内に)開始する意思を示す書面
- 事業計画書やマーケティング資料
- 新規事業の準備状況を示す書類(商品開発中のデザイン、試作品の写真など)
- 販売開始予定のスケジュール
📌 「具体的にどのように商標を使用する予定なのか」を説明することで、使用の意思があることを審査官に伝えられます!
✅ 3. 使用実績を証明する(すでに商標を使用している場合)
既に商標を使用している場合、その使用実績を証明することで拒絶理由を覆せる可能性があります。
証明に使用する資料:
- 商品カタログ、チラシ、オンラインショップのスクリーンショット
- 商標が実際に使用されている製品・店舗の写真
- 契約書や請求書など、取引の証拠となる書類
📌 これらの資料をもとに意見書を提出することで、「実際に業務で使用している」ことを審査官に示すことができます!
商標専門弁理士に相談するメリット
✅ 拒絶理由通知の内容を正確に分析し、最適な対応策を提案できる
✅ 使用実績や事業計画に基づく適切な証拠を整理し、意見書を作成できる
✅ 指定商品・役務の見直しを行い、登録の可能性を最大化できる
💡 「拒絶理由を覆したい!」という方は、弁理士への相談が最も確実な方法です!
まとめ – 拒絶理由通知を受け取ったら、すぐに対応を!
✅ 指定商品・役務の適正化が最も重要!
✅ 使用予定がある場合は、その意思を示す資料を提出
✅ 既に使用している場合は、実績を証明する資料を提出
商標登録を諦める前に、まずは最適な対応策を検討しましょう!