※2020年5月12日配信メルマガVol.71より抜粋(一部加筆修正あり)
ロゴを変えるとスタッフの意識も変わる
長い歴史を持つ企業は、
創業当初と同じロゴをずっと使い続けるというより、
むしろ時代の移り変わりに合わせるように、
あるいは企業としての姿勢を一新するタイミングで、
ロゴを変えていっていることが多いです。
なぜかというと、
ロゴは、企業としてのあり方や目指す方向をシンボル化したもので、
そこで働く人たちの意識を1つにする機能があるため、
ロゴを変えることで社内の意識まで変化が起こるのですね。
アサヒビールのロゴ
例えば、アサヒビールなどを傘下に持つアサヒグループ(以下、「アサヒ」)。
前身の1889(明治22)年に設立された「大阪麦酒会社」に始まり、
日本初のびん入り生ビール発売(1900(明治33)年)
日本初の缶入りビール発売(1958(昭和33)年)
日本初のビールギフト券発売(1969(昭和44)年)
日本初のアルミ缶入りビール発売(1971(昭和46)年)
など、
130余年の歴史で、数々の新しい挑戦に取り組み続け、
日本のビールの歴史を作ってきた企業です。
そんなアサヒの「Asahi」ロゴの特徴は、
清涼感あるブルーの英文字で、
跳ねるような曲線と力強い直線とからなる、
特徴的な右肩上がりの書体で構成されているところです。
参照:https://www.asahibeer.co.jp
こちらは、日本のグラフィックデザイナーの草分け的な存在である、永井一正氏が制作しました。
(JAやMUFGなど、著名なロゴを多数生み出された方です)
ブルーは、酒に最も重要な水を象徴し、
独特の躍動感ある書体は、若々しさや挑戦の姿勢、未来への発展を表しているそうです。
もっとも、昔のアサヒのロゴは、
昇る朝日と波頭をあしらった、赤いロゴマークでした。
参照:https://www.asahibeer.co.jp/news/2011/1012_2.html
「日出づる国に生まれたビールへの誇りと、昇る朝日(旭日昇天)のごとき将来性、発展性を願った」
という、社名の由来をそのまま表した、力強いデザインだったのですね。
苦境からの脱却は「ロゴの刷新」から
しかし、1980年代に入ってシェアが落ちてしまい、苦境に陥りました。
当時はキリンビールの独擅場に、サントリーが猛追し、サッポロが外食を固めていた時代。
アサヒはなかなかヒットに恵まれず、迷走していたようです。
そんな中、元々定評のある技術力に、マーケティングの力を取り入れようと、
大規模な消費者調査に乗り出し、
“コク”と”キレ”を軸にした新しい飲み口の商品の模索と、
CI(コーポレートアイデンティティ)の導入&ロゴの刷新に取り組んだのです。
その結果、1986年に、今までとは真逆の青い「Asahi」ロゴが誕生し、主力の「アサヒ生ビール」をリニューアル、
翌年には、日本初の辛口ビール「スーパードライ」が発売され、空前の大ヒットを飛ばします。
この大ヒットをきっかけに、アサヒはキリンとサッポロを追い抜き、
2010年から2018年まで9年連続でトップシェアとなったのでした。
(ビールの国内シェアは非公表になったため、現在のシェアは分かりません)
ロゴの力で企業のありたい姿に近づく
当然ロゴだけの力ではありませんが、
ロゴの変化が社員の意識に変化を与え、
良い商品を開発するようになる一つのきっかけになった、
ということは言えそうです。
ロゴが企業の姿勢や思いを象徴し、
そのロゴの元に社員が1つにまとまった時、
企業としてのありたい姿に近づいていくのではないでしょうか。
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