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商標

メロディーにも商標登録!?「お風呂が沸きました」

※こちらの記事は、2021年5月29日に書かれた内容です。
ご了承ください。

★「お風呂が沸きました」のメロディーが商標登録

お風呂のお湯張りが完了したことをお知らせする
お風呂が沸きました
メロディーが、
商標登録されたというニュースが、最近ありました。
(登録第6369662号)

どういうメロディーなのかは、
公式の方でYouTubeが上がっているので、
そちらを貼っておきます。

権利者は、メーカーの「株式会社ノーリツ」で、
このメロディーが初めて給湯機器のリモコンに搭載された
1997年から2020年までの間に、
累計1,650万台も販売されているそうです。

この数字は、1世帯の平均人数2.39人で計算すると、
実に日本の人口の約3人に1人に該当しますから、
相当の人数がこのメロディーを耳にしていることになります。

私は実は、これとは違うメーカーのものにしか当たったことがないので、
今回初めて聞いたのですが、
皆さんはもしかしたら聞いたことがあるかもしれませんね。

★メロディーには原曲があった

こちらのメロディーですが、
実は原曲がありまして、
「テオドール・エステン」というドイツの作曲家の
「人形の夢と目覚め(Dolly’s Dreaming and Awakening)」
という楽曲が元になっているんですね。
※参考:

こちらの作曲家今から151年前の1870年に亡くなっていることから、
著作権的には問題ないことになります。

★音の商標登録

そもそも、音も商標登録できるんだということを、
初めて知った方もいらっしゃるかもしれません。

今から6年前の、
平成27年(2015年)の4月1日から、
「音の商標」や「色彩のみからなる商標」「ホログラムの商標」といった、
新しいタイプの商標登録ができるようになったんですね。

「音の商標」はそのうちの1つで、
これまでに325件登録されています(令和3年5月29日時点の特許庁DBより)。
よく「サウンドロゴ」と言って、CMなどで流れますが、
あれが音の商標になります。
特に音楽である必要はないんですね。

最初に登録されたのは全部で13件で、
みなさんも一度は耳にされたことがあると思われる、
久光製薬の「♫HISAMITSU」や、
小林製薬の「♫ブルーレットおくだけ」とか、
大正製薬の「♫ファイトー、イッパーツ」
といったものがあります。

こういうのって、聞いただけで
「あ、あの会社のあの商品だな」
ってことがすぐわかりますよね。

この点がサウンドロゴ、つまり音の商標では重要なポイントで、
もし他人が自由に音の商標を使えてしまうと、
企業側にとってはとても不利益ということで、
商標権で守られることになったわけです。

★「お風呂が沸きました」のメロディーは審査で難航

ところが、「お風呂が沸きました」のメロディーについては、
さすがに元がクラシックの曲ということで、
審査でなかなか登録の判断が出ませんでした。

なぜなら、クラシックの曲は、耳で聴いて楽しむものなので、
一企業の商品やサービスを思い出すために用いるものではないからです。

なので、審査では一度拒絶の判断が出てしまったんですね。
そこで諦めたら試合終了なわけですが、
メーカーのノーリツは、諦めませんでした。

給湯機器のリモコンとして長年使用してきたことと、
多くの家庭でこのメロディーが耳にされていることを、
膨大な量の証拠を提出して、
4年経ってなんとか登録が認められたという経緯があります。

したがって、元は関係ない音楽家の楽曲なのに、
一企業が商標登録しちゃっていいの?
と思われたかもしれませんが、
長年の使用実績により、
給湯機器のこのメロディーはノーリツのもの
ということを既成事実化することで、
自分のものにしたということになります。

以上、自分のサウンドロゴを作って、
音の商標を登録したいという方は、
ぜひこういった事情も頭に入れていただければと思います。

https://stand.fm/episodes/60b20186a9cdfbf7cd71d900

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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