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★「™」「®」「©」
普段何か商品のパッケージや看板、ウェブサイトなどを見ている時に、
小さなTM(™)というマークやマルアール(®)というマーク、
マルシー(©)というマークを見かけたことがあるのではないかと思います。
たいていは文字とかロゴの右上(右肩)あたりについていることが多いのですが、
これらは何を意味しているかと言いますと、
™は、TradeMark。つまり、商標の英語訳の頭文字を意味しています。
そして、®は、Registered trademarkのRを取って、
登録された商標を意味しています。
さらに、©は、CopyrightのCを取って、
著作権を意味しています。
つまり、これらのマークをつけることで、
この文字は™がついているから商標ですよ、とか、
®がついているから登録商標ですよ、とか、
©がついているから著作権がありますよ、
といったアピールをすることができるわけです。
★「™」と「®」の使い分け
ちなみに、™は「未登録」や「出願中」であることを示すときに、用いることが多いです。
自分の場合、お客様には、商標出願した後に「™マークつけてください」と説明しています。
これは、出願中であることを外部に示すことで、
「登録される可能性のある商標だから、
他の人はなるべく使わないでくださいね」と牽制する目的で使います。
一方、®は「登録されている」ことを示すときに用いるものなので、
商標登録されたお客様には、「®マークつけてください」とお願いをしています。
こちらも、登録済であることを外部に示すことで、
「登録された商標だから、無断で使わないでください」と牽制する目的や、
「登録された商標なので、信用してください」とアピールする目的で使います。
実は、商標法には「登録した商標に、「登録商標である旨の表示」をするように努力してください」という規定があります。
これは、何も®マークだけに限らず、
例えば「商標登録済み」とか「商標登録第○号」といった形で表示するのもありです。
ただ、®マークが一番楽なので、おすすめしているというわけです。
ちなみに、米国では®マークをつけないと、裁判などで不利になりますので、必ずつけてください。
★登録されていないのに「®」マークをつけてはダメ
ところで、まだ商標登録されていないのに「®」マークをつけた場合は、どうなるでしょうか?
この場合、法律上は「虚偽表示」に該当するので、
一応刑事罰の対象になります。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課される恐れがありますので、注意してください。
★マークの出し方
PCやスマホでのこれらのマークの出し方は、
使っている入力ソフトによって変わります。
例えば、macOS標準の日本語IMでは、
「しょうひょう」「てぃーえむ」と打つと「™」マーク
「あーる」と打つと「®」マーク、
「こぴーらいと」「ちょさくけん」「しー」と打つと「©」マークに、
それぞれ変換できます。
他のソフトでは、「とうろく」で「®」マークが出たりするので、
色々試してみてください。
★その他のマーク「℠」「℗」
その他、SM(℠)というマークもあるのですが、
これは、Service Markの英語訳の頭文字を意味しています。
™は商品につける商標、℠は役務、つまりサービスにつける商標ということで、
区別するためにあるのですが、
あまり使われていないので、
サービスの商標でも™が使われているのが現状です。
™で統一していいでしょう。
さらに、まれに℗マークというのも見かけるのですが、
これはレコードやCDの原盤権を意味しています。
Pは「レコード」を意味するphonogramの頭文字ですね。
以上のマークは、基本的に万国共通のマークですので、
この文字は商標ですよ、あるいは登録商標ですよ、などと示したいときには、
これらのマークを使ってみてはいかがでしょうか。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。