※2022年11月29日配信メルマガVol.204より抜粋(一部加筆修正あり)
目次
「丸亀製麺」と「はなまるうどん」の違い
日本の2大うどんチェーンとして知られる「丸亀製麺」と「はなまるうどん」。
みなさんはどちらがお好きですか?
どちらも、美味しいうどんをお手頃価格でいただける点では共通しているのですが、
セントラルキッチンで製麺して各店舗に送る「はなまるうどん」は「量」「コスパ」重視なのに対し、
各店舗で職人が製麺する「丸亀製麺」は「質」重視という点で、
大きく異なっています。
店舗数は、「丸亀製麺」の832(2023年3月期第2四半期決算短信より)に対し、
「はなまるうどん」の454(2023年2月期第2四半期決算短信より)と、
大きく開きがあります。
海外進出においても、
「丸亀製麺」が店舗数を伸ばしているのに対し、
「はなまるうどん」は完全に撤退してしまったそうです。
海外進出するなら、「日本と同じ」ではダメ
両社の戦略上の違いがあるので、厳密な比較論評はできないとしても、
これだけ海外展開に差が出てしまったのは、
「現地化」の有無だと指摘する記事がありました。
※参考「丸亀製麺が海外で「大成功」して、はなまるうどんが「完全撤退」に至った理由」
https://gendai.media/articles/-/102320
「現地化」は「ローカライゼーション」と呼ばれますが、
海外進出の際に、進出先の国や地域に合わせて
商品やオペレーションなどを変える経営戦略を言います。
国や地域によって、文化や商慣習、法令などが異なるので、
日本でうまくいったやり方をそのまま他の国に持ち込んでも、
うまくいくとは限りません。
そこで、現地の事情に合わせた運用を行うことで、
トラブルやブランドイメージの悪化、
これらによる売上低下や、第三者からの訴訟、当局による取締といった
事業上のリスクを防ぐことができるのですね。
「現地化」は「マーケットイン」の発想
上掲の記事によると、
「丸亀製麺」は、、豚骨うどんや照り焼き丼、ボイルエビのトッピング等、
現地で流行している料理をメニューに加えたり、
各地の需要に合わせながら味付けやトッピングを工夫したりしているそうです。
これにより、現地のお客さんを惹きつけたのではないかとのこと。
一方の「はなまるうどん」は、
和風のおでんやウナギといった日本食、日本の味にこだわりすぎてしまったのではないか、
との指摘がなされていました。
この分析が正しいのかは分かりませんが、
「現地化(ローカライゼーション)」することで、現地の顧客の需要に合わせるのは、
「マーケットイン」の発想だと思いました。
一方で、日本でうまくいったものを、そのまま海外に持ち込んだり、
「〇〇を広めたい」といった企業側目線で現地向けに商品を提供したりするのは、
「プロダクトアウト」の発想になります。
「プロダクトアウト」より「マーケットイン(現地化)」の方が売れやすい理由
どちらかといえば、「プロダクトアウト」よりも
「マーケットイン」の方が売れやすいでしょう。
「プロダクトアウト」の発想では、
自分がいいと思ったもの、自分が作って売りたいものを売ろうとします。
しかし、お金を出して買ってくれるのはお客さんなので、
それが必ずしも売れるとは限りません。
逆に、お客さんの需要に合わせて、
お客さんが欲しいもの、望むもの、喜んでくれるものを売ろうとする
「マーケットイン」であれば、
お客さんは喜んでお金を出して買ってくれるので、
売れやすいということになります。
もちろん、単純に「マーケットイン」が善で「プロダクトアウト」が悪とは限りません。
「マーケットイン」だけだと、似たようなありきたりの商品・サービスが並んで、
価格競争になる可能性があります。
それに、Googleの検索エンジン、Appleの「iPhone」、LINEのような、
イノベーティブで市場を一変させてしまうような商品は
「プロダクトアウト」のものが多いですよね。
要は「プロダクト」と「マーケット」が合っていればいいのです。
小規模企業なら「マーケットイン」の方が良い
とはいえ、小資本の企業が取り組むのであれば、
できれば失敗の少ない「マーケットイン」が良いでしょう。
なぜなら、「プロダクトアウト」の商品は、
お客さんに価値を認めてもらえる=売れる保証がない上に、
仮に売れるようになったとしても、それまでに多額の広告費がかかる恐れがあるからです。
軌道に乗るまでに、体力のない会社は潰れてしまうかもしれません。
売れる保証がないということは、
商標や特許などの知的財産の取得の費用も無駄になる可能性が高いということです。
あるいは、売れてから商標出願しようと考えて、
販売開始からしばらく経った時には、すでに権利が取れなくなっていた…
ということにもなりかねません。
したがって、マーケティングやセールス等の負担の少ない
「マーケットイン」視点で商品・サービスを考えていくのがいいと思います。
まずはマーケットをリサーチして、
売れる商品・サービスを開発して、
商標出願などの知的財産の取得はその後ですね。
販売開始前でも、リサーチから売れることは大体わかっているので費用も無駄にならずに済みます。
もしすでに商品・サービスがある場合でも、
「丸亀製麺」が現地化(ローカライゼーション)していったように、
「プロダクト」を「マーケット」寄りに調整していくことが大切ですね。
一言で言えば、「郷(市場)に入っては郷(市場)に従え」といったところでしょうか。
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