※2024年10月15日配信メルマガVol.302より抜粋(一部加筆修正あり)
“禁止”の裏にニーズあり
前回は、事業者側の”禁止されていること”ということで、
事業の規制があるところの周辺のビジネスチャンスについてお話をしました。
今回は、お客さん側の”禁止されていること”の
裏に眠っているビジネスチャンスについて解説します。
ここで、消費者目線で考えてみましょう。
運転する人がお酒を飲んでもいいでしょうか?
お肉を食べられない人がお肉を食べるのは?
妊娠中に1日200mg以上のカフェインを摂取するのは?
健康上禁煙し化ければいけない人が喫煙するのは?
受動的にされている禁止と能動的にしている禁止など、
程度の差はありますが、どれも禁止ですよね?
そして、これらはただ単に禁止というだけでなく、
裏側にはニーズがあるからこそ禁止なのです。
お酒を飲んではいけないけど、お酒を飲んだ気分にはなりたい。
お肉を食べてはいけないけど、お肉の食感は味わいたい。
カフェインを摂取してはいけないけど、コーヒーっぽいものが飲みたい。
禁煙しないといけないけど、タバコっぽいものを口にしたい。
ニーズがあるからビジネスになる
こうしたニーズに目を向けていないと、
これらのお客さんを取りこぼしてしまうことになりますよね。
すごくもったいない。
そこで生まれたのが、
ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルであり、
プラントベースミート(代替肉)であり、
デカフェ(カフェインレスコーヒー)であり、
ノンニコチンスティックなのです。
禁止の裏にあるニーズを代替手段で満たすという発想です。
禁止ニーズを新技術で満たす
あとは、禁止だったものを技術的に可能にしてしまうことも考えられます。
例えば、これまで水筒に炭酸を入れることはできませんでした。
なぜなら、炭酸ガスが出る時に、密閉した水筒の内圧が上がってしまい、
蓋が開かなくなって、開けた際に内容物が噴出したり、
部品が破損してしまったりする危険性があるからです。
その一方で、長時間冷えたままの炭酸飲料を外出先で楽しみたいニーズもあります。
そこで、タイガー魔法瓶が開発したのが、
いつでもどこでも冷たい炭酸飲料を持ち運べる真空断熱炭酸ボトルです。
これは、炭酸ガスの噴き出しを防ぐために蓋の開栓時に作動する「炭酸ガス抜き機構」と、
ボトルの内圧が高まった異常時に作動する「安全弁」を備えた水筒で、
これらの構造の特許出願もしており、
「BubbleLogic」という技術名で商標登録もしています。
お客さんの“禁止されていること”の裏には、
何らかの不平不満、満たされていないニーズがあるので、
そこを満たしてあげる商品は売れるということですね。
商標の指定商品・役務案はアイディア出しに使える
余談ですが、私が商標出願の際に提示する
「指定商品・役務案」には、
お客さんの扱っている商品の他に、
その商品の代替品となるものを含めるなど、
広めにリストアップしています。
これは、「指定商品・役務案」を
新商品のアイディア出しにも活用してもらいたいからです。
こういった視点で考えている弁理士はあまりいないと思いますが、
ぜひ使えるものは使って欲しいですね。