なぜ値上げせずして客単価アップに成功したのか?

なぜ値上げせずして客単価アップに成功したのか?

※2023年6月27日配信メルマガVol.234より抜粋(一部加筆修正あり)

サイゼリヤがコロナ禍で「1円値上げ」した理由とは?

科学的にビジネスを改善させてきた「サイゼリヤ」の事例を、
これまでに何度か紹介してきましたが、

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今回もそんなサイゼリヤの
「値上げせずして客単価アップ」した事例
についてご紹介いたします。

サイゼリヤといえば、このインフレ時代に
社長自ら「値上げをしない」と宣言したことで有名ですが、
実は2020年にほとんどの商品を「1円」だけ値上げしているのをご存知でしょうか。

例えば、人気メニューの「ミラノ風ドリア」が、
「299円」だったところ、1円UPの「300円」に価格改定しました。

それまで「299円」だった理由はお察しの通り、
1円違うだけで最上の位の数字が1つ下がり「安く見える」から。
これは価格の心理学でよく出てきそうな例ですよね。

ではなぜ、そのメリットを捨ててまで値上げしたのでしょうか?
実は、「新型コロナ対策」で釣り銭を減らすため。
当時全約140品のメニューのうち、
9割を1~21円値上げし、残りの1割を10~19円値下げしたのです。
値上げした商品のほとんどが、1の位が「9」円のもので、
1円アップするのみで済んだそうです。

「1円値上げ」の思わぬ効果

すると、思わぬ嬉しい効果が生まれました。

まず、会計にかかる総時間が30%も減少したそうです。
全ての商品が50円単位となり、
ピッタリ払いやすい金額になったことで、
お釣りの受け渡しを減らすことができたためですね。

そして、会計時のお釣りのやり取りのストレスが減ったことで、
従業員のみならず、お客さんの満足度も上がったのです。

キリのいい数字のおかげで客単価もアップ

ここまでは想定通りですが、
なんと客単価もアップしたそうです。
それまでは700円台前半だったところ、
50円、100円刻みにすることで、
「ちょうど合計1,000円」を目処に注文するお客が増えたのです。

SNSでも「サイゼリヤ1000円ガチャ」というのが話題になり、
「これとこれとこれを頼むと、ちょうど1,000円になる」
というのができるようになり、
チャレンジする人が増えたそうです。
https://saizeriya-1000yen.marusho.io/

また、サイゼリヤで複数のメニューを頼む
サイゼ豪遊」というチャレンジが話題になったり、
いつものメニューにちょっと足すことで、
「味変」を楽しめるオーダー
を追加したりしたことも、
客単価アップに貢献してくれました。

その結果、客単価の平均は年々上昇し、
2020年が679円、2021年が698円、2022年が743円、
2023年は818円になりました。

このように、「わかりやすい価格設定」と「お得感」から、
ついつい複数メニューを注文しやすい状況を作り、
さほど値上げせずして客単価アップさせることができたのですね。

※参考記事
・「サイゼリヤ、社長も驚く「1円値上げ」の成果」
https://toyokeizai.net/articles/-/366926
・「サイゼリヤ、「値上げしない」のに客単価アップの謎」
https://toyokeizai.net/articles/-/672039

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