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★「クチコミ」はマーケティングに効果的
商品やサービスの購入等の意思決定にあたって、
他の利用者や購入者からの「クチコミ」を参考にすることはよくあると思います。
やはり、商品やサービス提供者側から
「これいいですよ!」と言われるよりも、
実際に利用したり購入したりしたお客さんから、
「これいいですよ!」と言われた方が、
客観的である分、信頼もできますよね。
これを心理学用語で「ウィンザー効果」と言いますが、
マーケティングでは非常によく使われていて、
私の事務所でも、お客様にアンケートを記入していただいて、
活用させていただくことがよくあります。
実際にクチコミの内容や評価の星の数がよくないと、
印象がよくないので、売り上げに直接影響していることは間違いありません。
★良い評価を得るためにやってはいけないこと
したがって、できればいいクチコミや評価をいただきたいですよね。
そこで、評価を改善するために、どんなことをしたらいいのか?
と考えるわけですが、一番やってはいけないことがあります。
それは、「自作自演」です。
俗にいう「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれるものの1つで、
広告宣伝であることを示さずに、第三者からの高評価を装う行為ですね。
みなさんも経験があるかと思いますが、
クチコミサイトなどで多くの人から選ばれているように見えると、
「自分も欲しいな」と思う人が増えて、
さらに多くの人から選んでもらえる効果があります。
これを「バンドワゴン効果」と言いますが、
自作自演のステマでそれを狙うと、
痛い目を見ることがあります。
★痛い目に遭った実例
例えば、Googleマップの例で言えば、
やらせでスタッフなどに自社のいい評価やコメントを書かせた結果、
Googleからペナルティを食らって、
検索ページの後ろの方に追いやられてしまった方がいました。
せっかく、SEO対策をして検索の上位に掲載されるようにコストをかけてきたのに、
このステマ行為のせいで水の泡になってしまったんですね。
どういうロジックで、Googleがステマを見抜いたのかはわかりませんが、
同一のIPアドレスから複数の書き込みがあると、
機械的に判断できるようにしているのかもしれません。
また、ある会社が管理・運営するクチコミサイトで、
自社をランキング1位に表示したことが、
不正競争防止法でいう「品質等誤認行為」であると判断され、
原告の同業他社に損害賠償を支払ったケースがありました。
(大阪地裁平成31年4月11日判決 平成29年(ワ)7764号事件)
こちらは、外壁塗装リフォーム会社の事件ですが、
クチコミサイトを見て、リフォーム工事を発注する人もいるので、
クチコミサイトは一種の広告のようなものなんですね。
そんなクチコミサイトで、「ランキング1位」の表示があれば、
需要者に対し、
“不特定多数の施主等の意見を集約した結果、掲載業者内で最も優良である”
と誤認させてしまいます。
実際のクチコミ件数や内容と乖離があるのに、
1位と表示することは、
品質等を誤認させる行為であるとして、
不正競争行為と認められました。
このように、ステマをすることにより、
Googleからペナルティを受けるだけでなく、
違法と認められてしまうこともあるので、
自作自演のクチコミはしてはいけない、
ということになります。
★マイナスの評価やコメントが来たらどうする?
それでは、もしマイナスの評価やコメントが来たらどうすればいいのでしょうか?
これはシンプルに「改善のチャンス」と見ればいいわけですね。
その際に、できればマイナスのコメントなどに1件ずつ丁寧に返信をして、
「お詫び」と「相手の意見をいったん認めること」と「今後の改善点」を、
示しておくといいと思います。
実際にそういう対応をしているホテルやお店を見かけることがありますが、
その対応がとても丁寧でいい印象があったので、
そこのホテルを選んだこともあります。
マイナスの意見って、ショックと言えばショックですが、
なかなか直接は言ってもらえないので、
貴重な意見として受け止めて、
改善のチャンスに変えれば、
今後はいい評価が増えてくるかもしれません。
★嫌がらせの場合はどうする?
ちなみに、マイナスの評価やコメントの中には、
スパムだとか同業者による嫌がらせのケースもあります。
的を射ていない単なる悪口や、
明らかな誹謗中傷が記載されている場合は、
そのクチコミサイトの運営に連絡をして、
不適切なクチコミであることを報告の上、
削除依頼をすればいいと思います。
Googleマップなんかは、
基本的にレビューを全て自動的に検知していて、
スパムの可能性があるものについては、
公開されないようにしています。
https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114
それでも公開されてしまうことは実際にあるので、
その場合は、Googleマイビジネスの管理画面で、
「不適切なクチコミとして報告」という項目を選択すると、
報告することができます。
他のクチコミサイトでも、同様の窓口は用意されているはずなので、
泣き寝入りせずに、コンタクトを取ってみてください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。