※2019年10月29日配信メルマガVol.43より抜粋(一部加筆修正あり)
岡山産の最高級バナナ「もんげーバナナ」
岡山で栽培されている「もんげーバナナ」ってご存知ですか?
「もんげー」は岡山弁で「すごい」の意味。
「皮まで食べられるバナナ」として、なんと1本600円(1房ではありません)でスーパーに並んでいる、
最高級バナナです。
https://mongeebanana.com/
まず、熱帯ではない日本で純国産バナナを育てているだけでも驚きだと思いますが、
無農薬で化学肥料も使わず、遺伝子組み換えでもありません。
世界中で主に流通しているバナナは、キャベンディッシュという品種で、
安く効率的に育てやすい利点はありますが、
遺伝的に病害に弱いという特徴があります。
今は特に、世界的に猛威を奮っているパナマ病が広がっており、
「バナナは絶滅するかもしれない」
とまで言われています。
一方、岡山の「もんげーバナナ」は、グロス・ミッチェルという品種で、
キャベンディッシュ以前に主流だったバナナです。
こちらが病害により生産量が減ったために、
キャベンディッシュが広がったわけですね。
「もんげーバナナ」の開発秘話
「もんげーバナナ」を開発した田中節三氏は、
ボルネオ島に滞在していた若かりし頃、
現地の学者から、昔は寒い環境でもバナナを栽培していた、という話を聞き、
日本でも絶対にできるはずだと、確信したそうです。
ところが、ストーブで温めてみたり、
バナナの苗を冷蔵庫に入れてみたり、液体窒素を使って急速凍結させてみたり、
様々な手段で挑戦してみるも、うまくいかず。
気づけば数十年の月日が流れていましたが、
最終的には、1日0.5度ずつ温度を下げていき、180日かけてマイナス60度に苗を凍らせてから、
自然解凍させることで発芽させる方法を生み出しました。
これが「凍結解凍覚醒法」で、特許と商標登録を取得しています。
ヒントは、氷河期を生き抜いた植物の存在。
急激な気温変化ではダメになってしまうため、
細胞を氷河期に合わせてチューニングすることで、
過酷な環境でもエネルギーを出せるようにしたそうです。
その甲斐もあって、糖度は普通のバナナの2倍、
栄養価も1.5倍以上のカリウム、4倍以上のカロテン、5倍以上のビタミンE、2倍以上の食物繊維を含む
高栄養バナナの開発に成功したのです。
普通は食べない皮までも、薄い上に栄養価が含まれるため、まるごといただくことができるのですね。
研究開発に40年もかかりましたが、量産体制も整い出したことで、
今や資生堂パーラー銀座本店サロン・ド・カフェ等のお店でも「もんげーバナナ」を使った商品が並ぶようになり、
苗の販売も始まったことで、売上も50億円を見込んでいるとのことです。
イノベーションの水平展開
現在は、バナナの他にも、パパイヤやマンゴ、コーヒー、カカオといった南国の作物を
「凍結解凍覚醒法」で栽培しているそうで、
開発者の田中節三氏と仲の良い、私の友人も販売を手伝っています。
(コーヒーは私も飲んでいますが、雑味がなくスッキリしてとても美味しいです。)
人口急増に伴う食糧不足が懸念されている中で、
シベリアの永久凍土を農地に変える取り組みがあると言われていますが、
そこでも「凍結解凍覚醒法」の技術は注目されています。
農業における素晴らしいイノベーションの水平展開と言えるのではないでしょうか。
イノベーションは趣味で生まれた!?
実は田中節三氏は、元々海運・造船の会社の経営者だったので、
補助金ももらわず、ポケットマネーで「もんげーバナナ」を開発したそうです。
数億もの私財を投じてできたのも、氏いわく、「趣味だから」。
趣味をトコトン突き詰めて、
楽しんでいるうちにすごいものができてしまうという、
この方の生き方を羨ましいと思いました。
参考:
・「奇跡のバナナ」(田中 節三 (著))
https://amzn.to/2pkUzlT
・「農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦」(川内 イオ (著))
https://amzn.to/2Nf1sgG
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