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★「成功はアートだが、失敗はサイエンス」
こちらは、「なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則」(日経トップリーダー(編集))という本の
「はじめに」のところで書かれていた言葉です。
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どういう意味かというと、
「成功」というのは、いくつかの要因の組み合わせで起こるもので、原因を特定できないけれど、
「失敗」というのは、究極的には1つの判断ミスによるもので、原因を特定できるということを、
わかりやすく表現したものなんですね。
似たような言葉で、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
という言葉もあります。
こちらは松浦静山という、江戸時代中後期の大名の言葉で、
楽天の元監督だった野村克也さんが引用されていたことで有名ですよね。
いずれにしても、
失敗というのは、原因を特定できて、再現性が高いので、
失敗を研究することは、
成功を研究すること以上に役立つということが言えます。
★実体験の失敗例
私自身の恥ずかしい失敗談を紹介しますと、
まだ社会人になりたての頃に、
1年に1, 2度、
寝坊で仕事に遅刻してしまうことがありました。
寝坊した時の絶望感、
経験されたことのある人もいらっしゃるのではないかと思います。
ただ、さらに今思い出しても恥ずかしいのは、
寝坊の言い訳で嘘をついたことです。
「体調が悪くて起きられませんでした」
「電車が遅れて、始業時間に間に合いそうにないです」
当時の勤務先のみなさんに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、この失敗を教訓に、
絶対に寝坊しない、遅刻もしない解決策を取ることにしました。
それは、そもそも起きる時間と電車に乗る時間を早くすること。
起きる時間と電車に乗る時間がギリギリだと、
自分が原因ではない不可抗力でも遅刻してしまう可能性があります。
そこで、朝4時に起きて、5時5分に到着する朝一番の電車に乗るようにしたのです。
通勤ラッシュに巻き込まれることもなく、快適に移動できる上に、
痴漢冤罪のリスクも回避できます。
多少電車が遅れても遅刻すること自体ありえません。
おまけに、始業時間までカフェで勉強したり仕事をしたりできたので、
とても有意義に過ごすことができました。
このように、失敗から学ぶことは、次は成功につながるということは、
私自身の実体験からも言えます。
★知的財産の世界も失敗例だらけ
また、自分が普段関わっている知的財産の世界も、失敗の事例で溢れかえっています。
例えば、紙製の箱や商品パッケージなど多様な紙製品を手がけている、
高田紙器製作所という会社があります。
あるとき、取引先に出した自社の商品サンプルが、なぜか競合他社にわたり、
巡り巡って他の取引先から、自社への見積もり用サンプルとして回ってきたことがありました。
なんだか笑い話のようですが、怖いですよね。
こういう失敗事例を糧に、
同社では商標出願をするようになり、自社の優位性を確保するようになったそうです。
登録まで至っていなくても、出願していること自体が差別化になるので、
そういった効果を狙っているんですね。
一方でこの会社は、特許出願については、慎重な姿勢で臨むそうです。
というのも、特許は出願後に内容が公開されるため、
そのタイミングで技術が漏洩するリスクが高いからです。
このように、失敗というのは、
痛い目に遭った分、「2度と繰り返さないぞ」という気持ちで、
学びが生かされる傾向にあると思います。
また自分が痛い目に遭わなくても、
他の失敗事例を見て、自分ごととして捉えられる場合は、
同じように学びの材料、
つまりサイエンスの素材になりますから、
将来にとても役立つものだと言えます。
以上、何か自分が目指しているものがある時、
「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉にならって、
他の方の失敗例や、自分の過去の失敗例に目を向けて見るのも、
いい学びになるのではないでしょうか。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。