※2022年7月19日配信メルマガVol.185より抜粋(一部加筆修正あり)
世界初の製品を生み出した建設機械メーカー
茨城県竜ヶ崎市にある株式会社諸岡は、
ゴムクローラと呼ばれる、
雪やぬかるみ、傾斜地などの悪条件の土地上を走行可能にする
ゴム製の足回りを備えた、
油圧ショベル等の建設機械メーカーです。
30年ほど前は鉄製のクローラが主流でした。
しかし、鉄製だと、重くて曲がりにくく、
隙間ができやすいため地面に潜りやすいという難点がありました。
そして、舗装された道路を走行する際には騒音や振動がひどく、
また地面を傷つけてしまうデメリットもありました。
アスファルトやコンクリートといった、舗装の上での作業も増えてきた中で、
鉄製のクローラーとタイヤのいいとこ取りをした、
ゴム製のクローラを世界で初めて生み出したのが同社でした。
軽いゴム製ということで、スピードも出やすい特徴がありましたが、
当初は知名度もなく、当時のゴム製の寿命が半年と短いことから、
あまり売り上げが芳しくなかったのだとか。
類似品の登場を受け入れ、市場が拡大
そんな中で、類似製品を製造するメーカーが登場し、
ゴムクローラを採用する企業も増えてきました。
これらの類似製品の登場を広く受け入れたことから、
ゴムクローラのメリットも知られるようになり、
市場も拡大する結果となりました。
もし1社独占だったら、
そこまで人に知られることもなく、
市場は小さいままだったかもしれません。
製品のデメリットを解消し、顧客ニーズを反映させる仕組みづくりに着手
もちろん、ただ競争を許しているわけでもなく、
試行錯誤の末に、
耐用時間を2,000~3,000時間(約2~3年)と伸ばして、
ゴムクローラの付加価値を高めていったのです。
また、バブル前まではOEMもやっていましたが、
バブル崩壊後は自分達のブランドで、
販売チャネルを構築していくことに取り組みました。
自社ブランドだと、営業を通じてお客さんの生の声を聞くことができるので、
マーケットインの発想で単品生産をすることができます。
こうして常にニーズを反映したものづくりを行って、
顧客の満足度を高めていったのですね。
海外でも「あえて」権利行使せず、取引先に取り込む
さらに、国内市場だけでなく、輸出の割合も増やしていき、
「MOROOKA」のロゴも世界で知られるようになってきました。
そうした中で、中国でゴムクローラの模倣品が登場。
普通はここで権利侵害を訴えて、市場から排除するところ、
これらの模倣品メーカーに対して「あえて」権利行使をしなかったのです。
むしろ、模倣品を「エコノミー版」として自社製品に採用することにして、
取引先として取り込んでしまったのだとか。
権利侵害に対しては
警告→訴訟
というのが定石ですが、
あえてそうせずに、味方に取り込んでしまうのも、
1つの手段なのですね。
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