結論から言うと、あります。
類似群コードは便利ですが、あくまで「推定」の道具です。実際の取引のされ方次第では、類似群コードが異なっていても、出所混同のおそれがあれば「類似」と判断され得ます。
目次
まず前提:類似群コードは「類似と推定するためのコード」
特許庁は、類似関係にあると推定する商品・役務をグルーピングし、検索のためのコード(類似群コード)を付与した「類似商品・役務審査基準」を公表しています。
※参考:「商標の類似群コードとは?弁理士がわかりやすく解説」
ここで重要なのは、「類似群コード=結論」ではなく「推定(統一的審査のための基準)」だという点です。
つまり、コードが違うからといって、常に非類似で安全…とは限りません。
実例:審査では通ったのに、後から「類似」でひっくり返った(ゴミサー事件)
あなたが挙げたのが、いわゆる「ゴミサー」事件です(知財高裁 令和6年(行ケ)10056号)。
何が起きたか(ざっくり)
- 先行(引用)側:商標「ゴミサー」/指定商品=生ゴミ処理機(第7類)
- 後願(本件)側:同じく商標「ゴミサー」/指定役務=生ゴミ処理機の貸与(第40類)
類似群コードが異なるため、審査段階では登録に至ったものの、後に無効審判→審決取消訴訟で争われ、最終的に商品「生ゴミ処理機」と役務「生ゴミ処理機の貸与」は類似と判断され、4条1項11号該当として(無効理由あり)という結論に至った、という流れです。
裁判所の考え方:コードではなく「混同の現実」で見る
裁判所は、商品と役務の類否について、要するに次の観点で判断しています。
- 通常同一の営業主が製造・販売と貸与(レンタル)を行っているか
- 同一(または類似)の商標が使われたとき、同一営業主だと誤認されるおそれがあるか
そして、建設機械などでは製造業者や関連会社が販売とともに貸与も行う実情があること、事務用機器でも販売と貸与を併せる事業者がいること等を踏まえ、機械に商標を付す者がその貸与も行うのは需要者にとって十分予想し得る範囲、と整理し、需要者も大きく重なる→混同のおそれ→類似と判断しました。
実務の注意点:類似群コードが違うときほど「最後に人間の目」で確認が必要
類似群コードは、商標調査や一次スクリーニングには非常に有用です。
ただ、次のような組み合わせは、コードが違っても類似認定されやすいので要注意です。
- 商品(モノ)と、その貸与(レンタル)
- 商品(モノ)と、その小売・卸売の役務
- 商品(モノ)と、その設置・保守・修理など周辺役務
- 現場の取引では「同じ会社がまとめてやる」ことが一般的な分野
※参考:「区分が違っても商標権侵害になる!?10の落とし穴」
「コードが違うから大丈夫」と思って同一商標で進めると、登録後に無効リスクが残る――というのが、この事件の怖いところです。
最後に:迷う段階で相談しておくと、手戻りが減ります
類似群コードが違うケースこそ、最後は
- その業界で販売と貸与(または小売・周辺サービス)が同一主体で行われがちか
- 需要者・取引ルートは重なるか
- 「同じブランドで提供されていそう」と見られないか
を踏まえた見立てが必要になります。
「これ、コードが違うけど安全かな?」「同一商標で攻めていいかな?」と迷う段階なら、出願前に一度、専門家の目で全体設計を確認しておくのが安全です。
サムライツ®︎知財事務所では、類否判断だけでなく、指定商品・役務の設計も含めて
「通しやすい設計」と「通らなかった場合の打ち手」まで整理します。
迷う段階でこそ、ご相談ください。


