商標登録の出願を進めていたものの、事業内容の変更や予算の都合で「区分を減らしたい」と感じたことはありませんか?
実は、登録査定後でも「手続補正書」によって区分を削除することが可能です。うまく活用すれば、不要な区分にまで登録料を支払う必要はなくなります。
本記事では、商標法に基づく区分削除のルールや手続方法、実務上の注意点について、弁理士の視点からわかりやすく解説します。
「費用を最小限に抑えて、確実に商標登録したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
商標登録出願の区分を減ずる──手続補正書による対応の基本
登録査定後でも区分を減らせるタイミングと方法
- 登録査定後、登録料を納付する際に「区分数を減らす補正」が可能です(商標法第68条の40第2項)。
- 例えば、9類、35類、42類を指定して登録査定が通知された場合、登録料納付時に、35類を削除する…といったことができます。この場合、9類と42類の合計2区分の登録料を納付すれば登録を受けることができます。
したがって、仮に10年一括納付だったとして、合計3区分の時は98,700円の登録料が必要だったのが、2区分で65,800円の納付を行えば足ります。 - 1区分減らした場合の節約できる金額は下記のとおりです。
・10年一括納付の場合…32,900円
・5年分割納付の場合…17,200円
- 例えば、9類、35類、42類を指定して登録査定が通知された場合、登録料納付時に、35類を削除する…といったことができます。この場合、9類と42類の合計2区分の登録料を納付すれば登録を受けることができます。
- この際、「手続補正書」を登録料納付書と同時に提出する必要があります。
- 「商標登録料納付書」の「その他」の欄には、例として「商標法第68条の40第2項の規定による手続補正書を提出します」と記載します。この記載がなければ、補正が認識されず特許庁の手続が進行してしまう可能性があるからです。
区分の削除はできるが、それ以外は不可
- 指定商品・役務の区分の削除は可能ですが、新規に商品や役務、区分を追加することはできません。
- 商品・役務の内容の変更や、区分削除の取消もできないため、慎重に判断を行う必要があります。
- 同一区分内の一部商品・役務のみを削除する補正も不可。登録後、別途「商標権の一部抹消登録申請書」により対応が必要です。
実務での活用ポイント
- 事業内容や予算に応じて登録区分を調整することで、余分な登録料を避けることが可能です。
- 分割支払いと組み合わせることで、登録コストを効率的に分散することもできます。
- 登録後は区分を削除する補正はできません。登録後は「商標権の一部抹消登録申請書」を提出してください。
実務チェック表
ポイント | 内容 |
---|---|
タイミング | 登録査定後〜登録料納付時 |
補正内容 | 区分の削除のみ可能(追加等は不可) |
提出書類 | 手続補正書+登録料納付書(同時に提出) |
注意事項 | 補正内容の変更不可、記載ミスに注意 |
まとめ:賢い出願者は補正制度を活用してコスト最適化
登録査定後に区分を減らす対応が可能な制度は、事業変動や予算制約に柔軟に対応できる重要な仕組みです。ただし、手続きのミスは意図に反した補正結果を招きかねません。権利保護が必要な区分まで削除しないように気をつけましょう。
弊所では、補正書の作成から登録戦略全体の見直しまでトータルにサポートいたします。
「不要な区分を削りたい」「適切な費用で権利化したい」と感じた際は、ぜひお気軽にご相談ください。事業の実態に沿った最適な知財設計をご提案いたします。