標準文字商標とは?定義・要件・出願方法を特許庁ガイドラインで整理【2025年対応】

標準文字商標とは?定義・要件・出願方法を特許庁ガイドラインで整理【2025年対応】

参照:商標法第5条第3項(標準文字商標)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/syouhyou_5_3.html

ロゴを作り込む時間がない、まずは文字列だけで権利化したい——そんなとき便利なのが標準文字商標
しかし、標準文字出願には“使える文字の範囲”や“書き方”が厳格に定義されています。本稿は特許庁の最新ガイドラインに沿って、定義・要件・メリット・注意点 を弁理士が整理しました。


1. 標準文字商標とは?

項目内容
法的根拠商標法第5条第3項:「商標登録を受けようとする商標について、特許庁長官の指定する文字(以下「標準文字」という。)のみによって商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。」
定義特許庁が告示で定める 標準文字一覧 に含まれる文字だけで構成し、書体・大きさ・色彩等の指定をしない商標
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran/document/index/shiryou_1_1.pdf
対象文字– ひらがな・カタカナ・漢字(常用+人名用など)
– 欧文52文字(A–Z, a–z)
– アラビア数字0–9
– 記号(&, @, ! など)
願書の記載願書の【商標登録を受けようとする商標】欄に横書きで文字列を記載し、
下に【標準文字】の欄を設ける

書体は基本的には関知せず:登録後はゴシック・明朝・手書き風など任意のフォントで使用可能。


2. 標準文字出願の要件

  1. 標準文字一覧外の文字を含まない
  2. 単一の横書き(縦書き、改行、文字の配置変形は不可)
  3. 図形・立体・色彩要素を含まない
  4. 混合文字でもOK(例:ABC日本株式会社)
  5. 30文字を超えない(スペースも文字数に加える)
  6. スペースの連続は不可

3. メリットとデメリット

メリットデメリット
– 作図不要 ⇒ 出願コスト軽減
– 基本的には書体や色を自由に変更可
– 類似範囲が広いと考えられがち(書体差では逃げられにくい)
– 図形・色彩は一切保護できない
– 造語でないと識別力不足で3条1項拒絶
– 一覧外文字・絵文字は出願不可

4. 出願前チェックリスト

  • [✔︎] 先行商標調査:J-PlatPatで同一・類似を検索
  • [✔︎] 文字列の識別力:説明的語・普通名詞を含まないか
  • [✔︎] 一覧外文字の排除:絵文字・特殊フォントを使わない
  • [✔︎] 図形保護の要否:ロゴ採用予定なら別途図形出願

5. 標準文字と図形出願の使い分け

ニーズ推奨戦略
ブランド名を幅広く押さえたい標準文字出願必要に応じ図形出願
ロゴの視認性がコア図形商標で出願
文字のみでは識別力が弱いが、保護したい標準文字では拒絶される可能性大。図形を添えた形で出願

6. よくある質問

QA
記号「★」は使える?標準文字一覧にないため不可。文字を画像ファイル化して出願を検討(標準文字の指定はしない)
大文字と小文字、両方守れる?大文字と小文字の違いは、通常は類似の範囲に含まれるので保護され得る
登録後にロゴ変更したら?図形要素を追加する場合は別途図形商標で出願

まとめ

  • 標準文字商標は一覧内の文字のみで構成し、書体・色を指定しない出願方式。
  • 造語で識別力を確保し、図形要素が必要なら標準文字+図形出願の併用が鉄則。
  • 出願前には先行調査と文字列チェックを忘れずに。迷ったら弁理士に相談しましょう。