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合併して会社が解散…商標の名義はそのままで大丈夫?
法人が吸収合併や新設合併によって解散したとき、その法人名義で出願中または登録済みの商標がある場合、どのような対応が必要でしょうか?
商標の権利は自動的に承継されるものの、特許庁への正しい届出や登録手続を行わなければ、法的な効力に不備が生じたり、通知が届かなくなるリスクがあります。
この記事では、合併によって出願人や商標権者が解散した場合に必要な手続きを、出願中と登録後に分けて商標専門弁理士が解説します。
合併による「名義変更」は譲渡とは異なります
合併は「一般承継」にあたるため、個別の譲渡契約を交わさずとも、商標の出願権や商標権は自動的に承継されます。
ただし、特許庁に対して所定の手続きを行わなければ、原簿上の名義が変更されないため、第三者に対する法的主張や通知の受領に支障が出る可能性があります。
出願中の場合:出願人名義変更届(一般承継)
✅ 提出書類と費用
- 手続名:出願人名義変更届(一般承継)
- 手数料:0円(無料)
- 添付書類:権利の承継を証明する書類
(例:履歴事項全部証明書、または閉鎖事項全部証明書)
📌 出願ごとに提出が必要です(識別番号での一括変更は不可)
登録済みの場合:合併による移転登録申請
✅ 提出書類と費用
- 手続名:合併による移転登録申請書
- 手数料:収入印紙 3,000円/件
- 添付書類:承継人であることを証明する書面
(例:承継人の登記事項証明書)
📌 登録原簿上の名義を正しく更新しないと、移転先が権利者として法的効力を行使できない場合があります。
放置すると起こりうるリスク
✅ 通知が旧法人宛てに送られるおそれ
- 審査結果、拒絶理由通知、異議申立て・審判通知などがすでに解散した法人名義宛てに送付される可能性があります。
- その結果、通知が不達となり、対応が遅れて出願却下や審査打切りとなるリスクがあります。
✅ 権利行使がスムーズにできなくなる
- 商標のライセンス契約、譲渡、更新、審判などの場面で、登録名義と実態が一致していないと、手続きが滞るおそれがあります。
弁理士に依頼するメリット
✅ 適切な手続きを的確に判断・実行
- 「合併による一般承継」と「譲渡」など、手続きの区別がつかないまま申請すると、却下されるリスクもあります。
- 弁理士であれば、正しい手続き名称・添付資料・収入印紙額を判断し、書類作成から提出まで一括で対応します。
✅ 複数出願・登録の一括対応も可能
- 合併対象法人が保有する多数の商標について、スムーズに一括で名義更新を行うことが可能です。
まとめ|合併後は、商標の名義もきちんと整理を
- 合併によって法人が解散した場合、商標出願人・商標権者の名義も原簿上で更新する必要があります。
- 出願中は「出願人名義変更届」、登録済みは「合併による移転登録申請」を行います。
- 権利保全や通知管理を万全に行うためにも、商標専門の弁理士へのご相談をおすすめします。