異議申立て期間が過ぎても安心できない!商標登録無効審判を請求されたときの対応策

異議申立て期間が過ぎても安心できない!商標登録無効審判を請求されたときの対応策

商標登録しても、無効になる可能性が!?

「商標登録が認められたし、異議申立てもなかったからもう安心!」
…と思っていませんか?

✅ 実は、商標登録は“完全に確定する”わけではありません。
登録から何年経っていても、「無効審判」を請求されて、商標が無効になることがあります。

この記事では、商標登録無効審判の概要・請求される理由・対応策・弁理士に依頼するメリット を解説します。


商標登録無効審判とは?

商標登録無効審判とは、すでに登録された商標について、登録に違法な理由があると第三者が主張し、特許庁にその登録を無効にするよう請求する制度です。2024年は、86件の無効審判請求がありました(商標登録件数は132,011件なので、さほど多くはないですが)。

  • 登録から何年経っていても、請求される可能性がある
  • 無効が認められると、その登録は「最初から無効だった」扱いになります
  • 不服があれば、審判から訴訟に移り、知的財産高等裁判所や最高裁判所で争われることも

📌 商標登録は「確定」ではなく、「取消・無効にされる可能性のある状態」であると理解しておくことが重要です。


無効審判に時効はある? ― 除斥期間に注意!

すべての無効理由がいつまでも主張できるわけではありません
商標法には、「除斥期間」という制度があります。

  • 商標法第4条第1項第11号(類似商標)など、多くの無効理由には「登録日から5年以内」という制限があります(商標法第47条)
  • 一部に例外があり、
    第15号(混同のおそれ)「不正の目的」で登録されたと認められる場合
    第10号(周知商標と類似)、第17号(ぶどう酒・蒸留酒の産地表示)「不正競争の目的」で登録されたと認められる場合
    除斥期間の適用がなく5年を過ぎても無効審判を請求することが可能です。(商標法第47条第1項かっこ書)
  • ただし、第7号公序良俗違反)などの重大な違反については、5年を過ぎても無効審判を請求できます

💡「5年経てば安心」ではなく、「理由によってはいつでも取消・無効にされる可能性がある」ことに注意しましょう。


無効審判を請求される主なケース

① 類似・混同の恐れがある既存商標と抵触(第4条第1項第11号・第15号)

  • 登録商標が、既に登録されている他人の商標と類似していた場合は、11号違反で請求されやすい
  • 有名ブランドとの混同の恐れがあるときも、15号違反で請求されやすい
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実際の事件:
商標「Swan Angel」が登録を受けたところ、先行して登録されていた「ANGEL SWAN」と類似するのでは?という理由で無効審判請求されました。その結果、両商標は類似すると判断され、「Swan Angel」は商標法第4条第1項第11号に該当するとして登録無効となりました(無効2022-890031)。

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実際の事件:
A社の商標「スタディサプリ」が「サプリメント」について登録を受けたところ、オンライン学習サービスで著名なB社の「スタディサプリ」と紛らわしいのでは?という理由で無効審判請求されました。両商標は商品・サービスの分野が異なるものの、一般需要者を対象にする点で共通します。また、A社とB社が親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係にあるとか、B社の商品と誤解されるおそれがあることから、両商標は商品の出所について混同を生ずるおそれがあると判断され、A社の「スタディサプリ」は商標法第4条第1項第15号に該当するとして登録無効となりました(無効2023-890046)。

📌 第11号に基づく無効審判の請求は「登録日から5年以内」に限られます(除斥期間)。
📌 第15号に基づく請求も「不正の目的」で登録されたものでなければ、5年の除斥期間の対象です。

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実際の事件:
ある商標が、商標法第4条第1項第11号、15号違反を理由に無効審判請求されました。しかし、その商標は平成8年9月30日に登録されたのに対して、無効審判請求は平成16年1月29日にされており、すでに登録から5年以上が経過していたのです。したがって、11号はもちろんのこと、「不正の目的」についての主張もされていなかったため、15号違反の無効理由についても判断されることなく、請求は却下(無効にならず権利存続)されました(無効2004-35053)。

💡 出願の動機や経緯に不正の疑いがあると、登録から何年経っていても取り消されるリスクがあるため注意が必要です!


② 公序良俗に反するとされる商標(第4条第1項第7号)

  • 社会通念上問題のある表現や、他人の名称・商標を無断で出願(冒認出願)した場合
  • 「出願の経緯」に問題があると見なされやすいケース
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実際の事件:
A社が自社の事業に商標を全国的な規模で使用していました。しかし、その商標がまだ登録されていなかったことを知った行政書士Bが、先に商標登録を行なって、なおかつ高額で商標権の買取を迫ってきたので、A社は無効審判請求をしました。その結果、Bの商標は、出願の目的・経緯において社会的相当性を欠き公序良俗に反する悪意の商標出願であるから、商標法第4条第1項第7号に該当するとして登録無効となりました(無効2023-890054)。

📌 この違反には除斥期間がないため、何年経っていても無効審判を請求される可能性があります。
出願の正当性や動機も問われる重要なポイントです。


③ 他人の著名商標を不正目的で登録したとみなされた(商標法第4条第1項第19号)

  • 他人の著名な商標を、あえて自分の名義で登録するなど、不正の目的があると認められた場合、第19号違反として無効審判を請求されることがあります。
  • 例えば、他人(特に海外の企業)が長年使用してきた名称やブランドを、日本で正式に登録されていないことを利用して先回りで出願・登録するケースなどが典型です。
  • このような“冒認出願”に近い行為は、第19号が問題とされやすい条文です。
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実際の事件:
商標「」が「トイレットペーパー」等の分野で登録されたものの、同じく「ティッシュペーパー,トイレットペーパー」を表示する商標として中国で広く知られている「」に類似することを理由に、無効審判請求されました。その結果、本件商標は、日本で登録されていないのをいいことに、その業務上の信用と顧客吸引力にただ乗りし、不正の利益を得る目的でされた出願・登録であるから、商標法第4条第1項第19号に該当するとして登録無効となりました(無効2022-890010)。

📌 第19号違反も、無効審判では時々請求される実務的な条文です。

💡 商標の出願にあたって、他人の使用実績や周知性を把握しておくことが重要です!

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これら以外にも、無効審判を請求されるケースは多々(30以上)あります。


無効審判を請求されたときの対応策

① 審判請求書の副本が届いたらすぐに内容を確認

  • 特許庁から送付される「審判請求書副本」には、請求の理由と主張内容 が書かれています
  • 対応期限内に何もしないと、一方的に登録が無効にされるおそれがあります

② 答弁書を提出して反論する

  • 無効理由に該当しないことを主張し、商標登録の正当性を示します
  • 識別力・非類似性・需要者の認識など、論点を明確に示します
  • 負ける(登録が無効にされる)確率は15〜20%程度とさほど高くはないですが、請求内容に合わせて適切な反論をしないと不利になるので要注意です

📌 審判の主張に正面から反論することが、商標維持の鍵です


③ 使用実績や資料を提出し、主張を補強する

  • 実際の取引の事実などを提出して主張を補強することで無効を回避できる場合は、証拠書類を提出します

商標専門弁理士に依頼するメリット

✅ 請求理由に応じた法的分析と、的確な反論戦略を立てられる
✅ 答弁書の作成や証拠提出をプロがサポート
✅ 審判だけでなく、後の訴訟対応にも一貫した戦略で対応可能

💡 「突然の無効審判通知にどう対応すれば?」というときこそ、弁理士の力がものを言います!


まとめ ― 商標登録はゴールではない。無効審判のリスクに備えよう!

  • 商標登録後も、無効審判により登録が無効にされる可能性があります
  • 異議申立て期間(2か月)を過ぎても、5年以内は特に要注意
  • 不正の目的や公序良俗違反など重大な理由があれば、除斥期間なく請求可能
  • 対応には、専門的な判断と適切な主張が不可欠

🔍 「もう登録できたから安心」とは限らない時代。無効審判リスクに備えて、信頼できる弁理士に相談しましょう!