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商標が「指定商品・役務の記載不備」等として拒絶された…どうする?
「商標が『指定商品・役務の記載が不明確』または『区分の指定が不適切』として拒絶されてしまった…」
「どのように補正すれば、商標登録が認められる?」
「意見書を提出すれば、拒絶理由を覆せる?」
✅ 商標法第6条第1項・第2項は、商標登録を受けるためには「指定商品・指定役務が明確であり、適切な区分に従っていること」を求めています。
✅ しかし、適切な対応を取れば、登録できる可能性があります!
本記事では、拒絶理由を覆すための方法、そして適切な指定商品・役務の記載方法を解説します。
→ まずは、なぜ拒絶されたのかを理解しましょう。
商標法第6条第1項・第2項とは?
✅ 第1項:「指定商品・役務の記載が不明確な場合」
商標法第6条第1項では、「指定商品・指定役務の内容及び範囲が明確に把握できるものでなければならない」旨を定めています。
この要件を満たさない場合、拒絶される可能性があります。
✅ 第2項:「政令で定める商品及び役務の区分に従わない場合」
商標法第6条第2項では、「指定商品・指定役務は、政令で定める商品及び役務の区分に従わなければならない」旨を定めています。
つまり、誤った区分で出願した場合、拒絶されることがあります。
指定商品・指定役務の記載不備で拒絶されるケース
(1)商標法第6条第1項違反(記載が不明確)
① 記載が不明確で、どのような商品・役務を指すのか特定できない場合
- 「家庭用美容美顔器」 → どのような形態の家庭用美容美顔器か不明確(不服2023-14526)
- 「ロケット」 → どのような用途のロケットなのか特定できない(不服2023-19957)
💡 商品・役務の内容があいまいな表現ではなく、「省令別表(商標法施行規則第6条)」や「類似商品・役務審査基準」に掲載されている表示に合わせて、具体的な名称を記載することが求められます。
② 一般的に使われている用語だが、商標法上の分類が曖昧な場合
- 「仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換」 → 改正資金決済法により、「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されたため、不明確であって適切ではないと扱われる
- 「非代替性トークン(NFT)」 → どのような商品なのかが特定できない
💡 審査基準に明確な分類がない用語を使用すると、拒絶される可能性があります。
③ 2つ以上の異なる商品・役務が含まれている場合
- 「スポンジバッグ、化粧用具入れ及び洗面用具入れ」 → スポンジバッグ(第18類)と化粧用具入れ及び洗面用具入れ(第21類)は異なる分類であり、適切な整理が必要(商願2020-3407)
💡 分類が異なる商品・役務を一括で記載すると、適切な補正を求められることがあります。
(2)商標法第6条第2項違反(区分が適切でない)
① 誤った区分で出願した場合

商品・役務によっては、ルールの改正(改訂)により区分が変更になることがあります。例えば「写真立て」は、以前は「第16類」に属していたのに、2024年からは「第20類」に属することになりました。したがって、過去の登録事例をもとに願書に記載した場合でも、第6条第2項違反に該当してしまうことがあるので、ご注意ください。
💡 商標法では、商品や役務ごとに適切な区分が定められているため、正しい区分で出願することが求められます。
拒絶理由通知を覆すための3つの方法
✅ 1. 指定商品・役務の補正を行う(最も有効な方法)
指定商品・役務の記載が曖昧または不適切な場合、明確な表現に修正するか、削除することで拒絶理由を解消できます。
例:
- 「家庭用美容美顔器」 → 「家庭用蒸気式美容美顔器(第11類)」
- 「ロケット」 → 「観測用ロケット(第9類)」
- 「仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換」 → 「暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換(第36類)」
- 「非代替性トークン(NFT)」→「非代替性トークン(NFT)により認証されたダウンロード可能なデジタル画像ファイル(第9類)」

特許庁の審査官が「補正案」を示している場合は、なるべくその案に従って補正した方がよいでしょう。
📌 拒絶理由通知を受け取ったら、まずは補正が可能かどうかを確認しましょう!
✅ 2. 適切な区分に修正する(第2項違反の場合)
誤った区分で出願している場合、正しい区分に修正することで拒絶を覆せる可能性があります。
例:
- 「写真の撮影(第42類)」 → 「写真の撮影(第41類)」
- 「コンパス(第9類)」 → 「磁気コンパス(第9類)」「コンパス(第16類)」
📌 区分の誤りがある場合は、正しい区分へ修正することで登録の可能性が高まります!
✅ 3. 意見書を提出し、記載の適切性を主張する(補正できない場合)
補正が難しい場合、意見書を提出し、指定商品の適切性を主張することが考えられます。
主張のポイント:
- 過去に類似の記載で登録された例を示す
- 業界内で一般的に使用される用語であることを説明する
📌 ただし、通常は審査官の判断を覆すのが難しいため、補正が可能な場合は補正を優先しましょう!
まとめ – 拒絶理由通知を受け取ったら、すぐに対応を!
✅ 指定商品・役務の補正が最も重要!
✅ 誤った区分で出願している場合は、適切な区分に修正する
✅ 補正がどうしても難しい場合は、意見書を提出して主張する
商標登録を諦める前に、まずは最適な対応策を検討しましょう!