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商標が「誤認のおそれあり」として拒絶された…どうする?
「商標が『消費者に誤認を与えるおそれがある』として拒絶されてしまった…」
「自社の商品やサービスにふさわしい商標なのに、なぜ登録できないの?」
「意見書や再出願で登録を覆せる可能性はある?」
✅ 商標法第4条第1項第16号は、商標が消費者に商品の品質やサービスの質、産地、用途、効能などについて誤解を与えるおそれがある場合、登録を認めないと定めています。
✅ しかし、適切な対応を取れば、登録できる可能性があります!
本記事では、拒絶理由を覆すための方法、意見書提出のポイント、そして再出願の戦略を解説します。
→ まずは、なぜ拒絶されたのかを理解しましょう。
商標法第4条第1項第16号とは?
商標法第4条第1項第16号では、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」は、登録できないと定められています。
✅ 審査で「誤認のおそれあり」と判断される例
1. 産地に関する誤認
- 「小豆島オリーブ」(小豆島以外で生産されるオリーブに使用する場合)(商願2018-148012)
(淡路島以外で生産又は販売されるチーズに使用する場合)(商願2021-52547)
2. 品質・効能に関する誤認
- 「ラグジュアリーシルク」(高品質な生糸・高級感のある生糸ではない素材に使用する場合)(商願2023-59162)
- 「herbal incense」(ハーブ(香草)で作られたお香に関するサービス以外に使用する場合)(商願2021-109866)
3. 用途に関する誤認
- 「メディカルトーリック」(医療用の乱視矯正レンズ以外の商品に使用する場合)(商願2022-90847)
- 「アンチエイジングドック」(老化防止のための検査以外のサービスに使用する場合)(商願2022-71443)
💡 ポイント:
- 商標そのものがNGというわけではなく、指定商品・役務との関係で品質等の誤認を生ずるおそれがあるとNGとなる
- ロゴや図形を付加しただけでは、拒絶を回避することができない
→ では、この拒絶を覆す方法はあるのでしょうか?
拒絶理由通知を覆すための3つの方法(優先順位順)
✅ 1. 指定商品・役務を限定して誤認のおそれを回避する(最も有効な方法)
拒絶理由通知では、特定の指定商品・役務について誤認のおそれがあると判断されることが多いです。
その場合、問題となる指定商品・役務を削除・減縮(補正)し、登録可能な範囲を確保する方法が最も有効です。
例:
(下に小さく「Made in Kawaminami-cho」と記載) → 指定商品「バナナ」を「宮崎県川南町産のバナナ」に補正(不服2021-14320)
- 「ENRICHED OFF CREAM」 → 指定商品「化粧品」を「クリーム,クリーム状の化粧品」に補正(不服2021-10773)
💡 重要ポイント:
- 産地や品質等を含む商標は、その産地や品質等の商品・役務に限定することで、拒絶理由が解消するケースが多い
- ただし、その場合でも、依然として商標法第3条第1項第3号違反が解消されない場合がある。その場合は、補正ではなく他の方法を検討する必要がある
✅ 2. 意見書を提出し、誤認のおそれがないことを主張する(優先順位は2番目)
審査官の判断に異議を唱え、商標が消費者に誤認を与えないことを論理的に説明する意見書を提出できますが、この方法の成功率はやや低いため、指定商品の補正や再出願を検討した後に使用するのが一般的です。
主張のポイント:
- 実際の商品やサービスが消費者に誤認を与えないことを具体的に説明
- 消費者の一般的な理解や市場での認識を示す
- 過去の登録事例を引用し、登録の可能性を示す

実際の事件で、「濃厚だしリッチ」という商標が「濃厚なだしが豊富に含まれている商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるとして拒絶された件がありました。しかし、商標全体として見れば造語性や独自性があり、特定の具体的な品質のみが認識されるわけではなく、広く一般に使用されてもいない上に、「〇〇リッチ」という商標は多数登録されていると主張しました。結果、反論が認められて登録に至りました(不服2021-16886)。
📌 意見書・補正書の提出期限は拒絶理由通知を受け取ってから40日以内のため、迅速に対応する必要があります!
✅ 3. 商標を変更して再出願する(最終手段として有効)
意見書や指定商品・役務の補正では拒絶理由を覆せない場合、商標を一部変更して再出願するのが有効です。
再出願時のポイント:
- 品質等の誤認を生ずる恐れのある要素を削除
- 品質等を示す単語を他の語と組み合わせて造語化
📌 再出願前に、弁理士に相談すれば拒絶されにくい商標を提案してもらえます!
商標専門弁理士に相談するメリット
✅ 拒絶理由通知の内容を正確に分析し、最適な対応策を提案できる
✅ 指定商品の補正や商標の再出願など、成功率が高い方法を選べる
✅ 意見書の作成では、過去の登録事例を引用し、説得力のある主張が可能
✅ 不服審判など、複雑な手続きも代行できるため、迅速かつ確実に対応できる
💡 「拒絶理由を覆したい!」という方は、弁理士への相談が最も確実な方法です!
まとめ – 拒絶理由通知を受け取ったら、すぐに対応を!
✅ 指定商品・役務の限定、意見書の提出、商標の変更によって対応可能
✅ 意見書・補正書の提出期限は40日以内なので、早めの対応が必要!
✅ それでも認められない場合は、不服審判で再チャレンジできる
✅ 成功率を高めるために、弁理士に相談するのが最も安心で確実!
商標登録を諦める前に、まずは最適な対応策を検討しましょう!