※2022年10月18日配信メルマガVol.198より抜粋(一部加筆修正あり)
タクシーの違法停車時間を88%も減らした看板
タクシーの違法停車時間を88%も減らした、
京都のある看板が話題になっています。
https://www.j-cast.com/2022/10/11447781.html
車道に面して設置されたこの看板には窓がついていて、
歩道側からは「この窓から見えるタクシーは、違法駐車中です」、
車道側からは目のイラストと共に「ドライバーさん違法駐車みんな見てますよ」と
書いてあるのです。
この看板には、心理学を応用したいくつもの工夫がなされています。
実は、タクシー乗り場以外の場所での違法な客待ちの原因は、
乗客が横断歩道上や、交差点などの駐停車禁止の場所で
タクシーを拾おうとすることに起因していたのです。
とはいえ、乗客側に前もって意識を変えてもらうことは難しい。
ましてや、京都だと観光客もタクシーを利用するでしょう。
そこで、この看板を設けることで、
歩道側から看板を見た乗客に働きかけて「ここではタクシーが拾えないんだ」と
思わせることに成功したのですね。
また、窓が作られているだけでなく、
車道側に目のイラストが描かれているのも、
人に見られている意識が働くため、
人に行儀良く振る舞わせたり、
正しい行動を取らせる効果があるのだそうです。
https://www.wired.com/2010/12/eyes-good-behavior/
(「American journal Evolution and Human Behavior」より)
その結果、2時間あたり約46分の違法駐停車時間が、
看板設置後にはわずか5分になり、
88%もの削減につながりました。
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/220530.html
(京都市とNTTデータ経営研究所の調査結果より)
人々の意思決定のクセを利用する「ナッジ理論」
このように、人々の意思決定のクセを利用して
望ましい行動を取れるように環境をデザインすることを、
行動経済学の言葉で「ナッジ(nudge)」と言います。
「ナッジ(nudge)」は、「肘で小突く」とか、
「そっと後押しする」といった意味の英単語ですが、
2017年のノーベル経済学賞受賞者、セイラー教授によって、
行動経済学の「ナッジ理論」が提唱されました。
ナッジの事例は他にもたくさんあり、
著名な例では、
男子トイレの小便器にハエの絵を描くことで、
的を絞らせて、小便が便器外に飛び散るのを防ぎ、
清掃の手間を省かせた、といったものがあります。
「ナッジ理論」のビジネスでの応用
ビジネスでも応用することができ、
弊所でもさまざまな方法で採り入れています。
例えば、商標出願時には、お客さまに
権利範囲を定めるための「指定商品・役務」を決めていただく必要がありますが、
選択肢が複雑で、商標出願に慣れてないとなかなか難しいです。
こういった複雑な選択肢の中から、事業のカバーに必要なものを適切に選んでいくには、
事業のことをよく理解しつつ、
法で定められた「指定商品・役務」の区分や表現も理解しなければなりません。
そこで、弊所では、事前にヒアリングの機会をいただいて、
お客さまの事業を理解することに努め、
その上で、「必要と思われるもの」「できればあった方がいいもの」「参考までに検討いただくもの」
の3種類に分けて「指定商品・役務」案を作成し、
お客さまが選びやすいように工夫しています。
その案も「必要性を感じる表現」で「必要と思われるもの」を先に書くことで、
お客さまにとってわかりやすい並べ方にしているんですね。
これにより、より適切な選択肢を選びやすくなるよう工夫しています。
かなり手間のかかる方法ではあるのですが、
「指定商品・役務」は権利範囲を決める重要な部分なので、
より良い方法を模索して、
なるべくお客さまに負荷をかけずに済む方法を思いつきました。
みなさまもぜひ、ご自身のビジネスにおいて
この「ナッジ」を採り入れてみてはいかがでしょうか。
マーケティング、セールス、マネジメント、
さまざまな場面で活用できることでしょう。
【サムライツ(R)】公式メルマガ(無料) | |
姓 * | |
名 * | |
メールアドレス * |