商標法第3条第1項第3号違反の拒絶理由通知を受け取ったら?覆す方法と再出願のポイントを解説

商標法第3条第1項第3号違反の拒絶理由通知を受け取ったら?覆す方法と再出願のポイントを解説

商標が「説明的な表現」として拒絶された…どうする?

「商標が『説明的な表現』として拒絶されてしまった…」
「ありふれていないのになぜ登録できないの?」
「意見書を提出すれば、登録できる可能性はある?」

商標法第3条第1項第3号は、商品やサービスの特徴等を直接的に示す表現は(識別力がないとして)商標登録できないと定めています。
しかし、適切な対応を取れば、登録できる可能性があります!

本記事では、拒絶理由を覆すための方法、意見書提出のポイント、そして再出願の戦略を解説します。

まずは、なぜ拒絶されたのかを理解しましょう。


商標法第3条第1項第3号とは?

商標法第3条第1項第3号では、「商品やサービスの種類、品質、用途、効能、産地、価格などを直接的に示す表現は商標登録できない」と定められています。

✅ 審査で「説明的な表現」と判断される例

  • 商品やサービスの種類を示すもの: 「プロテインヌードル」(麺類)、「デジタル調剤薬局」(調剤)
  • 品質や特徴・産地や販売地等を表すもの: 「SUPER COFFEE」(コーヒー)、「TOKYO SHAREHOUSE」(建物の貸与)
  • 用途や機能を示すもの: 「しゃべるスマートウォッチ」(音声を発する機能を搭載したスマートウォッチ型おもちゃ)、「ハイクラス転職」(人材に関するコンサルティング)

💡 ポイント:

  • 単語が「ありふれている」かどうか、実際に一般的に使われているかどうかは関係ない
  • たとえ独創的で他に誰も使用していなくても、商品やサービスの特徴を直接説明している場合は拒絶されることが多い

では、この拒絶を覆す方法はあるのでしょうか?


拒絶理由通知を覆すための3つの方法

✅ 1. 意見書を提出し、商標に識別力があることを主張する

審査官の判断に異議を唱え、商標が説明的ではなく、識別力を持つことを論理的に説明する意見書を提出できます。

主張のポイント:

  • 商品やサービスの特徴を直接的に示していないことを証明
    (例:商標「COOL WINE」からは「涼しくさわやかなワイン」の意味合いが生じ得るが、「COOL」には「落ち着いた」「素晴らしい」「いけてる」といった意味もあり、直ちに具体的な意味合い(商品の特徴)を認識するとまではいえない(不服2023-5313))
  • 商品やサービスの特徴を連想させるとしても、普通に表したものでないことを示す
    (例:文字の「新鮮一番」なら説明的だが、←こちらの図形を含めた商標全体の構成は、商品の特徴を普通に表したとは言えず識別力がある(不服2022-15064))
  • 過去の登録事例を引用し、登録の可能性を示す

📌 意見書の提出期限は拒絶理由通知を受け取ってから40日以内のため、迅速に対応する必要があります!


✅ 2. 使用による識別力(セカンダリーミーニング)を証明する

説明的な表現でも、長期間にわたり継続して使用されることで、消費者に特定の企業やブランドとして認識される場合、商標登録が認められることがあります(セカンダリーミーニング)。

証明に使用する資料:

  • 販売実績や広告宣伝の記録(例:売上高、広告費、販売地域)
  • メディアでの掲載実績(新聞、雑誌、テレビ、ウェブサイトなど)
  • 消費者の認知度を示すアンケート調査
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例:商標「空調服」は、「通気機能を備えた被服」の意味合いで説明的に用いられており、一度は審査で拒絶されましたが、長年の使用実績により全国的に広く知られるようになったことを証明し、登録が認められました(不服2017-14295、令和2年(行ケ)第10084号)。

💡 特に、長期間にわたり全国的に使用されている場合、登録の可能性が高まります(ただし、使用による識別力を証明する難易度は非常に高いのが一般的です)。


✅ 3. 商標を変更して再出願する

意見書や使用実績では拒絶理由を覆せない場合、商標を一部変更して再出願するのが有効です。

再出願時のポイント:

  • 文字商標の場合、ロゴや独自のフォントを組み合わせて提出する
    (例:「認知行動療法士」→「」)
  • 独自の文字やデザインや図形を追加し、視覚的な識別力を高める
    (例:
    (例:炭酸茶→
  • 説明的な単語に独自の造語や表現を加える
    (例:「マーケットイン型経営」→「シン・マーケットイン」)

📌 再出願前に、弁理士に相談すれば拒絶されにくい商標を提案してもらえます!


拒絶理由通知を覆せなかった場合の次のステップ

✅ 不服審判を請求する

拒絶理由通知に対して意見書を提出しても認められなかった場合、特許庁の審判部に「拒絶査定不服審判」を請求できます。

不服審判のポイント:

  • 意見書では認められなかった論点を再度主張できる
  • より詳細な使用実績識別力の証拠を提出することも可能
  • 成功すれば、審査官の判断を覆して商標登録が認められる

📌 不服審判は専門的な手続きのため、弁理士に依頼するのが一般的です!


商標専門弁理士に相談するメリット

拒絶理由通知の内容を正確に分析し、最適な対応策を提案できる
意見書や再出願時に、識別力を強調する表現を提案できる
使用による識別力の証拠を効果的にまとめ、説得力のある資料を作成できる
不服審判など、複雑な手続きも代行できるため、成功率が高まる

💡 「拒絶理由を覆したい!」という方は、弁理士への相談が最も確実な方法です!


まとめ – 拒絶理由通知を受け取ったら、すぐに対応を!

商標法第3条第1項第3号は、「商品やサービスの特徴を直接的に示す説明的な表現」は登録できないと規定している
意見書の提出・使用による識別力の証明・再出願のいずれかで対応可能
意見書の提出期限は40日以内なので、早めの対応が必要!
それでも認められない場合は、不服審判で再チャレンジできる
成功率を高めるために、弁理士に相談するのが最も安心で確実!

商標登録を諦める前に、まずは最適な対応策を検討しましょう!