商標は投資。「活用することでビジネスが発展した」5つのパターン

商標は投資。「活用することでビジネスが発展した」5つのパターン

※2021年9月14日配信メルマガVol.141より抜粋(一部加筆修正あり)

商標は「コスト」じゃなくて「投資」

通常、商標出願や商標登録は、「コスト」として捉えている人や企業が多いかと思います。
他者から訴えられないように、仕方なくするもの
そう思われている方は、多いのではないでしょうか?

もちろん、それも商標権の重要な効果ですが、
商標権の前に「商標の活用」を考えると、
商標出願や商標登録を「投資」として捉え直すことができる機会になります。

そこで今回は、「商標の活用」についての企業の考えを、
前回同様、特許庁の調査研究報告からシェアしつつ解説をしていきます。
※以下、引用符(””)部分は「商標権取得による効果及び商標制度の活用に関する調査研究報告書」より引用
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2018_01_zentai.pdf

「ビジネスの発展」につながる商標の活用

商標の活用は、大きく2つに分けることができます。
ビジネスの発展」に関するものと、
組織の発展」に関するものです。
今回は「ビジネスの発展」に関するもの5つに絞って、紹介していきます。

①需要者に覚えてもらえる、ネーミングで注目してもらえる

まずは、需要者に覚えてもらえたり、ネーミングで注目してもらえることが挙げられます。

商品・サービスをわかりやすいネーミングにすることで、お客様に覚えてもらいやすくなり、認知度向上につながると実感する。(その他サービス業)

全く面白みの無い名前で出して売れていなかった商品が、面白い名前に変えただけで消費者に受けて一気に売り上げが伸びた。(製造業)

との意見があるように、
ネーミングをきっかけに世間に広く知られるようになり、
たくさん売れるようになることはよくあります。

例えば、保湿ティッシュに「モイスチャーティッシュ」というありきたりの名前をつけていて、
品質は評判だったのに、いまいち売れない商品がありました。
それを「鼻セレブ」にネーミングを変えたら、
ユーザーから「面白い」「おしゃれ」といった声が上がり、
広く知られるようになって、売り上げが10倍以上になりました。

(「nepia公式ファンサイト イイネピア!」より引用)

②ブランドが知られるようになることで、取引や営業がうまくいく、売上がアップする

2つ目は、ブランドが知られると取引がうまくいき、結果として売上がアップすることです。

どんなにいい商品・サービスでも、
ありきたりな名前がついていれば、
ありきたりな商品・サービスだと思われてしまいます。

一方、

ブランド化したことで、販売量や収益性が向上した。それ以上の効果として指名買いが発生し、他社同等製品からの優位性ができ、差別化が図られている。(農林水産業)

需要者に機能を想起させる商標を使用し、かつ品質をリンクさせることで、他社の同種の商品よりも高い値段で販売することができている。(製造業)

とあるように、差別化された商標でブランド化した結果、
同業他社の商品・サービスより高い値段でも売れるようになり、
指名買いが起こって、
競合優位性を獲得することができます。

③ブランドが知られるようになることで、ライセンスの引き合いがくる

3つ目は、ライセンスのオファーがくることです。

自社ブランドを付けた製品が品質的に優れているというイメージから消費者の認知度や関心が高まってきたところ、そのブランドを冠して売りたいという要請が他の企業から寄せられるようになり、それらの企業にライセンスしたところ、それらの企業の商品を通じて自社の直接の顧客以外の消費者にも認知度が向上するという好循環が生じた。(製造業)

という事例もあるように、
商標が持つ信用力や集客力などを利用したいニーズが発生することもあります。

例えば、世界一ミネラルを含有する塩としてギネスブックに乗った「ぬちまーす」という塩のブランドがありますが、
「ぬちまーす」のブランド自体に品質の優れたイメージがつき、
菓子や化粧品メーカー等から、ライセンスの依頼が多数くるそうです。

(「ぬちまーす公式通販ショップ」より引用)

④ブランドが知られ、社名が知られるようになることで、自社の他の商品・サービスも知ってもらえる

4つ目は、自社の他の商品・サービスも知られるようになることです。

例えば、足元の冷えやむくみの悩みを解決する「三陰交をあたためるソックス」というソックスを、
まるでこたつソックス」にネーミングを変更したことで、売り上げが30倍以上になり、
メーカーの岡本株式会社の名前も知られるようになりました。
その結果、波及効果で他の商品も売れるようになり、
「まるでこたつ」ブランドでシリーズ商品化するに至ったそうです。

(「靴下の岡本公式オンラインショップ」より引用)

⑤自社ブランドの立ち上げで、価格競争からの脱却や新たな事業スタイル獲得のきっかけになる

最後5つ目は、価格競争から脱しビジネスモデルを新しくするきっかけになることです。

OEMや下請けだけでは、事業展開が難しい場面が多々あり、自社ブランドによる事業展開を決心した。(製造業)

OEMから自社ブランドのビジネスに展開するためにネーミングを行った。現在では国内海外問わず支持されるトップブランドとなっている。(製造業)

といったコメントにみられるように、
どうしても売り上げや利益が限られてしまうビジネスモデルから、
一方踏み出すきっかけとして、
商標を使った自社ブランド構築に取り組むことは効果的です。

例えば、株式会社クロダは、手袋のOEM製造を中心に行っていたものの、
このままでは突然発注が消えるリスクがあると考え、
自社ブランド化に取り組みました。
そこで、スマホ操作に対応した手袋に「Fast Touch」と名付けて販売し、
ブランドが広く知られるだけでなく、
取引先からの評価も向上したそうです。

以上、商標を活用することで、ビジネスの発展につながることについて、
効果を実感している企業が数多くみられました。

ぜひ上記の事例を参考に、商標を有効に活用してみてくださいね。

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