商標登録できない場合のリカバリー策

商標登録できない場合のリカバリー策

※2021年3月16日配信メルマガVol.115より抜粋(一部加筆修正あり)

世界に評価される「箕面ビール」のブランディング

箕面ビール」をご存知でしょうか?
大阪の箕面市で1997年から造られているクラフト地ビールで、
生きたビール酵母が入った、
多くのビール好きに愛されているビールです。

ビール関係の祭典でも数々の受賞歴があり、
日本のみならず世界でも評価されています。

箕面ビールのHPを見ると、とてもデザインにこだわっていて、
コンセプト、商品の見せ方、取扱店の情報など、
どのページも見やすく、
美味しさを演出していますね。
ブランディングが上手いなと思います。
https://www.minoh-beer.jp

商標「箕面ビール」は「ビール」の分野については拒絶されたが…

そんな箕面ビールの商標のポートフォリオをみると、
どうやら文字の「箕面ビール」は、
「ビール」の分野で拒絶されてしまったようです(商願2017-031448)。

なぜかというと、「地名+商品名」からなるので、
単に商品の説明的な商標と判断されてしまったからです。

ところが一方、
ビールジョッキ」や「タンブラー」などの分野と、
Tシャツ」や「パーカー」などの分野では、
文字の「箕面ビール」は登録されています(登録第5944916号)。

商標に「ビール」の文字は含まれていますが、
これらの商品分野は「ビール」と無関係だから、
上記のような理由で拒絶されなかったのですね。

そしてこれらの分野で商標登録したのは、
ビールのブランドが育った時に、
「箕面ビール」のブランド名を使った、
周辺のグッズ販売を展開することを見越したためだと考えられます。

英文字やロゴにしたら登録できた!

さらに、文字の「箕面ビール」は登録できなかったものの、
英文字の「MINOH BEER」(登録第6041326号)や、
ロゴの「MINOH BEER」(登録第5913196号)は、
「ビール」の分野でもしっかり登録されています。

また、HPに出てくる猿のキャラクター画像も商標登録されている(登録第5913197号)し、
ビールのラベルデザインについても商標登録されています(登録第5922221号)。

このように「箕面ビール」というビール名自体は、
商標登録できず
他の会社でも使えてしまう状態です。

しかし、英文字表記やロゴやラベルのデザインについては商標登録しているから、
こちらは他者の使用を制限することで、
違いを出すことができます。

したがって、異なるロゴやラベルを見れば、
お客さんからみたら、
仮によその「箕面ビール」があったとしても、
こちらの会社の「箕面ビール」とは似て非なるものだなと
見分けがつきやすい
というわけですね。

どうしても「地名+商品名」の商標を使いたいなら

登録が取りにくく、他の人も使いそうな「地名+商品名」の商標は、
地域団体商標でもない限り、
なるべく自社商標としては使わないに越したことはありません

そうはいっても「地元を盛り上げたい」とか
「自社の姿勢として地元愛を打ち出したい」といった思いもあり、
どうしても自社ブランド名に「地名+商品名」の商標を使いたいこともあるでしょう。

そんな場合のリカバリー策として、
英文字、ロゴなど
いくつかの商標を多面的に権利化して保護していけば
ブランド力を高めていけることを、
「箕面ビール」は示してくれています。

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