ネーミングで営業利益率が変わる

ネーミングで営業利益率が変わる

※2020年2月25日配信メルマガVol.60より抜粋(一部加筆修正あり)

ネーミングは2種類ある

商標のネーミングの仕方は数ありますが、2種類に大別することができます。
1つは①「商品やサービスの内容(機能や用途等)を示唆する商標」で、
もう1つは②「独創性の高い(商品やサービスの内容を示唆しない)商標」です。

前者①は、例えば「ウコンの力」や「熱さまシート」、「弁護士ドットコム」など、
商品やサービスの内容(機能や用途等)を示唆するため、
需要者に、その商品の機能・用途等が伝わりやすい特徴があります。

一方後者②は、例えば「レッドブル」や「サロンパス」、「ホットペッパー」など、
商品やサービスの内容を示唆せず、名前だけではその機能等が伝わりにくい反面、
それとなく暗示してイメージを伝えたり、思いやコンセプト、背景などを伝えることができ、
差別化しやすく、ブランド化しやすい特徴があります。

営業利益率が高いネーミング

どちらがいいのか?は、一概には言えないのですが、
弁理士会の調査によると、
実は②の「独創性の高い商標」の方が、
営業利益率(売上高に占める営業利益の比率)が高い傾向
がある、ということがわかりました。
(パテントVol.73 No.2 P33より)

一方、売上高に占める広告宣伝費については、
①の「商品やサービスの内容を示唆する商標」の方が、
低い傾向がある(同じ売上を上げるのに、少ない広告宣伝費で済む)ようです。

利益率に違いが出る理由

①「商品やサービスの内容を示唆する商標」は、
その商品の機能・用途等が伝わりやすいため、
需要者にとって手に取りやすく、多くの説明を必要としないからであると考えられます。

その反面、似たような名前の商品が多数登場しやすく
需要者が誤って手にしたり
「こっちでいいや」と、選択肢から除外されやすかったりするのではないでしょうか。
ということは、価格競争に陥りやすく、長期的にはコストの優位性もなくなっていきそうです。

②の「独創性の高い商標」の方は、
その商品の機能・用途等が伝わりにくい分、
需要者の手に渡るまでのコストは高いものの、
一旦ファンができてブランド化すると、リピートされやすく、口コミで広まりやすいため、
営利率を高く維持できるのでしょう。
機能で選ばれると代替されやすいですが、ブランドで選ばれると代替されにくくなります。

もっとも、この傾向も分野によってややばらつきがあり、
例えば、医薬品、衛生用品などの「化学(日用品)」分野では、
①の方が営利率が高く、また広告宣伝費も高くつく傾向があります。

商標登録のされやすさにも違いが

なお、商標登録のされやすさについては、
①よりも②の「独創性の高い商標」の方が登録されやすいです。
そもそも、「商品やサービスの内容を表示する商標」は、
拒絶理由となっているので、
①のネーミングについては、「どれくらい示唆的なのか」「単なる説明的な商標になっていないか」が問題になります。
この判断はとても微妙なところで、
審査官によっても、またその時々の時流、審査や判例の傾向等によっても、変化してきます。

したがって、私としては、名前を考える難易度は高いですが、
長期的に見て②の「独創性の高い商標」のネーミングをおすすめしておりますし、
弊所の事務所名「サムライツ®︎」も、そういった考えがあって②のネーミングとなりました。

商品内容を示唆する商標は、うまく造語化する

とはいえ、コストも低く抑えられるし、ネーミングもしやすい点で、
①の方がいいと思うこともあるでしょう。
特に事業の立ち上げ時期は、わかりやすいネーミングで顧客を増やして、早めに軌道に乗せたいところです。
その場合は、冒頭の①の例に挙げた「熱さまシート」のように、
うまく造語化すると、登録もされやすくなるし、ブランド化もしやすくなります。
全く意味の伝わらない造語よりは内容もわかりやすいですし、ある程度造語化により独創性もあるので、
①と②のいいとこ取りとなります。

ネーミングをする際は、その商標が
ただの商品・サービスの説明になっていないか?
もう少し造語化できないか?
という観点から、考えてみてください。

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