無関係の第三者が「ラブライバー」を商標出願!もう使えなくなるの?

無関係の第三者が「ラブライバー」を商標出願!もう使えなくなるの?

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アニメや映画、漫画で人気の「ラブライブ!」のファンや関係者を表す言葉として、
広く使われている「ラブライバー」を
関係のないYouTuberが商標出願したということで話題になっています。

商標の出願や登録状況が見られる「J-PlatPat」というサイトを確認しますと、
今年の8月19日に、
「広告」の分野や、「ネットでの映像や音声・画像情報の提供」などの分野で
「ラブライバー」のカタカナ文字が商標出願されています(商願2022-096033)。

この出願した人が、YouTubeをされているので見ました。

仙台ラブライバーの方で、
今回出願したのは、以前「ゆっくり茶番劇」の商標が無関係の第三者に登録されて話題になったので、
「もしかしたら「ラブライバー」の商標も悪用されるのではないか?」
ということで自分が商標出願したそうです。

そして登録されたとしても「ライセンス料とかは一切取りません」と言っています。
一方、登録されなかったとしても、「これで取れなかったらみんなが取れない証明になる」ということで、
自分には「悪意がない」と主張しているんですね。

「ラブライバー」をみんなで盛り上げるためにやっているんだと、
正当性を主張しているわけです。

ただ、言っちゃ悪いけど「それってあなたの感想ですよね?」ということです。
自然発生的に生まれた言葉だと思いますし、
公式が出願するならまだしも、
勝手にファンを代表して、社会的な意義を主張する立場ではないんじゃないかなと思います。

その上で、じゃあ仮にこの「ライセンス料とかは一切取りません」というのが嘘だったとしたら、
「ラブライバー」という言葉が使えないの?
と心配される方もいらっしゃるかと思います。

まず、今の段階では商標出願しているだけで、
まだ登録になっていない審査中なので、
心配はいりません。

商標は登録要件がたくさんあるのですが、
それを全部クリアして初めて商標登録されて、
商標権が発生する、
つまり独占的な権利が発生するんですね。

登録要件がクリアできていないと審査で判断された場合は、
拒絶理由通知」というのがされて、
反論などができないとそのまま出願が拒絶されます。
商標登録されないんですね。

今回の場合は、「ラブライバー」というある程度世の中に知られていて、
ネット上で不特定多数のユーザーが使っている言葉なので、
おそらく4条1項7号とか10号とか15号といった、
何らかの登録要件を満たさない可能性があり、
拒絶理由が出るんじゃないかなと思われます。
最近は審査官も世間の空気を読んでいる節がありますしね。

ただ、中には「ゆっくり茶番劇」みたいに、
審査官が登録の判断をしてしまう場合もあります。
商標登録されると商標権が発生してしまいますが、
その場合であっても、
一定期間内に「登録異議申立」というのができますし、
その期間を過ぎても「無効審判請求」もできます。
つまり登録を後から取り消せる制度があるんですね。
その辺りは、「ラブライブ!」の公式が
何らかの対応をするものと思われます。

それから、「ラブライバー」が商標登録されても、
「ラブライバー」の言葉そのものが使えなくなる訳ではありません
商標登録した範囲で、事業として使えなくなるだけなので、
「ラブライバー」を、収益化手段(コンテンツ販売とか広告とか)に使わなければ大丈夫だと考えられます。

例えば、TwitterとかのSNSの投稿の中で「ラブライバー」と使ったり、
YouTubeとかTikTokの中で「ラブライバー」と発言したり、
動画のタイトルとかサムネの中で使っても問題ありません。
チャンネル名とかアカウント名にするとやや危ない部分はありますが、
先ほど言ったように登録にならない可能性も十分にありますので、
今のところ心配不要です。

以上、まとめますと、

・まだ出願段階なので慌てる必要はない
・審査で拒絶される余地は十分ある
・仮に登録されても、「異議申立」や「無効審判請求」で、登録を取り消せる制度もある
・「ラブライバー」の言葉を、商標登録した範囲で事業として使えなくなるだけなので、自分のビジネスや収益につながるような使い方でなければ問題ない

ということになります。