【ゆっくり茶番劇】商標は早い者勝ちだけど…

【ゆっくり茶番劇】商標は早い者勝ちだけど…

2022年5月19日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/628609804f9f7800065717aa

今、YouTubeとかTwitterで
「ゆっくり茶番劇」が勝手に商標登録されていた!
ということで話題になっていますよね。

※話題の商標はこちら↓
「ゆっくり茶番劇」(登録第6518338号)

私はあんまり詳しくないのですが、
「ゆっくり茶番劇」って、
どうやらニコニコ動画とかYouTubeとかで、
動画投稿者が長年使ってきた言葉なのだそうです。

同人ゲームなどで知られる「東方Project」の派生作品として誕生したそうで、
特定の動画のジャンルを指して、
みんなが使ってきたらしいですね。

みんなが使ってきたものを、
第三者が勝手に商標登録した挙句、
商標を使いたい人は年間10万円のライセンス料を支払えと、
かなり強気で発言したことが、
火に油を注ぐ形で問題になりました。

こういうのって、
ネット社会では度々起こっていて、
以前にも「ぴえん🥺」という絵文字が商標出願されて話題になったり、
古くはインターネット掲示板の2ちゃんねるで
自然発生的に誕生して流行した、
「ギコ猫」の文字や「のまネコ」の文字と図形が、
企業によって商標出願されて炎上したことがありました。

ここでおさらいしたいのですが、
商標というのは、
基本的には「早い者勝ち」です。
先に使用していたとかよりも、
先に出願していた人が登録を受けられるんですね。

だから、先に使用していたのに取られたといっても、
文句言えないのが原則です。

ただし、早い者勝ちといっても例外があって、
商品やサービスの一般名称のようなものや、
すでに広くいろんな人に使われている名称は、
登録できないんですね。

そういうものを登録してしまうと、
他の人が使えなくなって困る
社会的なデメリットが大きいからです。

だから、ファンの人からしたら、
特許庁はなんで「ゆっくり茶番劇」に商標登録を認めるんだ、
みんなが使っている言葉なのに、おかしいじゃないか、
ということで、憤っているわけです。

この辺りに、特許庁の審査官の認識と、
「ゆっくり茶番劇」に親しんでいるファンの人の認識に
ズレが生じています。

そして、一度登録が認められると、
特許庁側で勝手に登録を取り消したりすることはできないので、
誰かが登録の取り消しを求める
「異議申立」か「無効審判請求」をして、
そこで改めて判断されない限りは、
登録は有効なものとして存続していきます。

すでに「異議申立」の申し立て期間は過ぎてしまっているので、
「無効審判請求」をするしかないのですが、
おそらく「東方Project」の関係者の方が、
請求手続をするんじゃないかなと思っています。

この騒動のせいで、
商標の検索サイトがつながりにくくなっていて、
私の業務にもやや支障が出ております。
ちょっと困りますね。

ここまで炎上するなら、
「ゆっくり茶番劇」の商標登録を放棄する手続をした方が、
長い目で見たらいいと思うのですが、
どうなることやら。

制度を悪用して、
世間を敵に回すようなことは、
やめて欲しいものですね。