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前回の記事で、発売50周年を迎えた日清食品の「カップヌードル」について、
特許や実用新案権を取った、
すごい構造のお話をしました。
今回は、カップヌードルが
ブランド面でもいろんな工夫をしているということで、
商標の面から色々お話したいと思います。
★「CUP NOODLE」と「CUP NOODLES」がある理由
日清食品のHPにアクセスして、
カップヌードルの商品ラインナップを見ていると、
あることに気がつくかと思います。
https://www.cupnoodle.jp/products/
それは、ほとんどの商品のロゴが「CUP NOODLE」、
つまり英語の単数形になっているのに対し、
一部の商品だけ「CUP NOODLES」と複数形になっている点です。
例えば、一番オーソドックスなレギュラーの「カップヌードル」や、
「シーフードヌードル」、私の好きな「カレー」、
その他「チリトマトヌードル」や「味噌」といった変わり種は、
単数形の「CUP NOODLE」になっています。
その一方で、「パクチー香るトムヤムクン」や「魚介仕立てのペペロンチーノ」といった、
「世界のCUP NOODLES」シリーズだけ、
複数形の「CUP NOODLES」になっているんですね。
※サムネ画像は日清食品HPより引用
それと、カップヌードルは世界でも広く販売されているのですが、
実は海外向けに売られている商品も、
基本的には「CUP NOODLES」と複数形になっています。
https://nissinfoods.com/products/cup-noodles
そして、大阪の池田と横浜にある
カップヌードルミュージアムも
「CUPNOODLES MUSEUM」で、
複数形になっています。
それでなんとなく分かった方もいらっしゃるかもしれませんが、
「麺、麺類」を意味する「NOODLE」は、
英語のネイティブでは複数形で用いるのが通常らしいんですね。
日本では語呂の関係で「CUP NOODLE」の単数形で親しまれていますが、
海外向けの発信や、海外由来の商品については、
複数形の「CUP NOODLES」にしているようです。
★商標登録も両方
ちなみに、商標登録も、
日本では「CUP NOODLE」と「CUP NOODLES」の両方を登録していますが、
海外では国際登録のリストを見る限り、
複数形の「CUP NOODLES」が大多数です。
一部には「CUP-NOODLE」という表記もあります。
このように、販売する国や地域によって商品のネーミングが変わって、
それに合わせて商標出願の戦略を変えていく、
ということはよくあるんですね。
★その他の雑学
ちなみに、英語の「CUP NOODLE」のロゴの下に、
カタカナの「カップヌードル」の表記がありますが、
「ド」が小さく表記されていることにお気づきでしょうか?
これは、英語の発音の関係で「ド」が小さく発音されるために、
それに合わせて小さく表記したのだそうです。
また、英語の「CUP NOODLE」のロゴは、
発売当初からほとんど変えていないのですが、
一箇所だけほんの少し変更したところがあるそうです。
それは、「L」の表記の部分で、
変更前のデザインだと、「L」の次の「E」とつながって、
アルフベットの「I」に見えてしまうために、
2mmだけ横線を1本入れて、
「L」に見えるようにしたそうです。
このように、一流にブランドは、
表記1つとってもこだわりの理由があるんですね。
カップヌードルや日清食品の話は、
まだいろんなネタがあるので、
また機会のある時に、お話したいと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。