法改正で悪を撃て!

法改正で悪を撃て!

※2019年4月9日配信メルマガVol.14より、一部加筆修正の上抜粋

先日、特許庁より昨年の知的財産の出願状況が発表されました。
→「特許庁ステータスレポート2019」
https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2019/index.html

弊所は商標のご相談が多いので、
昨年の商標の件数を見てみますと、
出願が184,483件(前年:190,939件)、
登録が116,547件(前年:111,180件)、
とのことでした。

前年に比べて、登録件数が増えているのに、出願件数が減っているのは、
法改正の影響も多少はあると考えられます。

以前、ピコ太郎さんの「PPAP」などの著名な商標が、
無関係の第三者(B社)により、大量に無断で出願されている事実が報道されていたのをご存知でしょうか?
B社は、手数料を払わずに出願したものを、さらに分割して子出願するという、
一応合法だけどグレーな手法で、1年に1万件以上も出願していました。
手数料を払ってないので、いずれは却下されるのですが、
分割出願をすれば、親出願の日を引き継ぐことができるので、
事実上何度も復活できてしまうのです。

そのせいで、多くの企業等が、自己の商標出願を断念したり、
審査の長期化を余儀なくされながら、B社の出願消滅まで待ったり、
中には、B社と交渉して泣く泣く商標出願を譲り受けたりするなど、
非常に迷惑を被っていたわけです。
審査をする特許庁としても、膨大な事務コストがかかっているので、
ムダとしかいいようがないわけです。

そんな状況が4年以上続き、流石に法律で何とか対処せざるを得なくなり、
「手数料を払っていない出願は分割出願を認めない」
こととして、昨年の6月9日に改正法が施行されました。

この改正によって、B社の出願件数に影響があったのではないか?
と調べてみると、
現時点で審査に継続している出願件数について、
昨年の5月9日から6月8日までが1,200件であるのに対し、
施行後の昨年6月9日から7月8日までは9件でした。
おそらく、改正法により却下されているのでしょう。
効果はてきめんですね。

 

ところが、この法改正は、分割ではない新規の出願には適用されないため、
根本的な解決には至っていません。
現に、”新規の件数”は、直近の今年1月9日から2月8日までで8,078件に上ります。
B社は今でも大量出願を続けているのです。

ちなみに、B社なりの信念も語られているので、
怖いもの見たさで(?)ご興味のある方はご覧ください

http://www.bestlicense.qcweb.jp/index.html

こういう事案の影響をなくすには、さらなる法改正が必要ですが、
我々一般人サイドにできることとしては、
・なるべく早めに出願を済ませる
ことと、
・万が一、B社に先取り出願されても、すぐ諦めずに粘り強く審査官と交渉する
ことが大事ですね。

 

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