・「具体と抽象」(細谷 功 (著))
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思考の解像度を高め、問題解決能力を飛躍させるための必携の指南書です。
本書の内容
本書は、私たちが本質的な洞察や応用性の高い知識を得るために必須の「具体」と「抽象」という思考の往復運動のメカニズムを、論理的かつ実践的に解説しています。
具体は「一つ一つの個別事象」、抽象は「個別事象を共通の特徴で一つにまとめて一般化したもの」と定義され、いろいろな角度から具体と抽象の捉え方や扱い方が説明されています。
そして著者は、様々な特徴や属性を持つ事象から細部を切り捨てて共通の特徴を抽出する「抽象化」と、抽出された特徴を個別の事象に当てはめる「具体化」の高速な往復こそが、発想力や理解力の向上、そして円滑なコミュニケーションを生む鍵だと説きます。
といっても難しい内容は一切なく、この思考法が企画立案、問題解決、キャリア形成といったあらゆる領域で私たちの思考の質を左右することを、イラストや図解や具体例を交えながらわかりやすく明かしてくれています。
本書は一貫して「抽象化」の重要性を説いていますが、最後の最後に「抽象化だけでは生きにくい」という話も展開しており、抽象化の弊害についても触れられていました。
結局は「抽象化」と「具体化」をセットで機能させることが、コミュニケーションを発展させていく上で欠かせないのだと思いました。
読んで感じたこと
「具体と抽象を行き来することが大事」という定説を、ビジネスの現場で使える具体的な思考ツールとして徹底的に言語化した点に凄みを感じます。
弁理士が行う特許の明細書作成や商標の指定商品・役務の作成業務も、まさにこの具体と抽象を行き来しながらいいバランスでまとめ上げられるかどうかが、審査に通りやすくなるか、権利行使しやすくなるかの分かれ目になると思いました。
自分自身、抽象化の深さや速度が足りなかったために、コミュニケーションエラーを起こしてしまったことや、理解が及ばなかったことがあるなと反省。今後はさらに「具体と抽象の往復」を意識していこうと、自身の思考の背骨が一本通ったような感覚がありました。
情報の発信と受信を豊かにするための普遍的な視点を提供してくれる、骨太な内容です。
こんな方におすすめ
- 企画・戦略立案に携わり、場当たり的な対策から脱却したい方
- マネジメント層で、本質的な指示や汎用性の高いアウトプットを生み出したい方
- 自分の仕事からポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)を抽出したいビジネスパーソン
- 顧客や取引先、上司や部下、親や子供などと話が噛み合わず、コミュニケーションに苦心している人
「考えること」を職業とするすべての人にとって、思考が袋小路に入ったときに立ち戻る羅針盤となる一冊です。
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