※2024年11月19日配信メルマガVol.307より抜粋(一部加筆修正あり)
石川県のレンタルビデオ店から始まったDMM
DMMといえば、今やアダルトや動画配信、オンラインゲームやFXなどで有名ですが、
その前は人口7万人足らずの石川県加賀市で
レンタルビデオショップを営んでいました。
加賀市は、創業者の亀山敬司さんの出身地で、
高校卒業後は東京で露店販売をしていたのですが、
姉夫妻の事業を手伝うために帰郷したそうです。
そして、最初にビデオさえ仕入れれば
あとはお金を使わずにキャッシュを生んでくれる「ストックビジネス」である
レンタルビデオ店を開業することにしたのです。
顧客分析で仕入れの数を調整し、5店舗を構えるまでに成長
人口の少ない加賀市を選んだのも、
これくらいのエリアなら自分の商圏を守れると考えたのでしょう。
とにかくお客さんの趣向の研究を怠りませんでした。
例えば、「話題の新作」のコーナーは、
新作料金で少し高めに貸し出しても観たい人が多いです。
しかし、こういう作品は流行り廃りが激しいので、
一定期間が過ぎると全く借り手がいなくなるんですね。
だから仕入れを増やしすぎてもいけない。
一方、「男はつらいよ」とか黒澤作品といった「不朽の名作」コーナーは、
長年観てくれる人、何回も借りてくれる人がいるので、
こっちの方を多く仕入れた方がいい、
といったことがわかるようになったのです。
やがて、亀山さんは、周囲のレンタルビデオ店を買収していき、
加賀市内に5店舗を構えるようになりました。
借りたビデオは、どの店舗で返してもいいことにする仕組みを作って、
地元に愛されるショップになったのですね。
ライバルを減らすために
「レンタルビデオよりコンビニの方が儲かりますよ」
と吹聴して回ったこともあったそうです笑
大手チェーンの傘下に入り、商圏を防衛した”白旗戦略”
しかし、ここで最大のピンチ到来。
金沢から大手のレンタルビデオ店「ビデオシティ(現・ゲオ)」が
加賀市に進出しようとしてきたのです。
ビデオシティは、北陸では圧倒的シェアを持っていたため、
亀山さんは戦々恐々としていました。
そこで取った方法が面白い。
なんと、ビデオシティの社長に直談判して
「フランチャイズになるから、加賀に来ないでください」
と頭を下げたのです。
ビデオシティとしても、地元に根付いている店と戦うより、
傘下に入れて売上の何%かをもらった方がいいということで、
この提案が受け入れられました。
こうして白旗を揚げることで、加賀市での経営を続けることができたのです。
業界最大手には丸パクリ戦略で対抗
ちなみに、業界最大手のTSUTAYAが進出しようとしてきた時は、
この手は通用しないと考え、白旗戦略は使いませんでした。
渋谷にあるTSUTAYAを参考に、
内装もTSUTAYAに似せて
その1.5倍の大きさの店舗を作ったのです。
お客さんからすれば、
借りるものが同じならどこで借りても同じ。
同じような店は何店舗もいらないということで、
TSUTAYAは加賀市への進出を諦めたのでした。
こうして、時に白旗を揚げ、
時に対抗しながら、
自分の商圏を守っていったんですね。