塾に行けない子を救え──スタディサプリが見つけた“隠れ需要”の取り込み方

塾に行けない子を救え──スタディサプリが見つけた“隠れ需要”の取り込み方

※2024年6月25日配信メルマガVol.286より抜粋(一部加筆修正あり)

価格破壊でも伸び悩んだ初期モデルの「スタディサプリ」

近年、学習塾の業界でイノベーションを起こしたサービスに
スタディサプリ」があります。

「スタディサプリ」は、リクルート社のグループ企業が、
実績のある講師陣の講義動画を低価格で提供するサービス。

元は「受検サプリ」という大学受検情報サイトからスタートし、
その後「勉強サプリ」という名称で
著名予備校講師の録画講義をネット配信するようになったのが始まりです。

当初は講義10回セットで5,000円という価格で、
学習塾と比べれば破格でしたが、
受講生は数千人程度とそこそこの人数にしか浸透しませんでした。

“Hulu式”を参考に月額980円に変更して一気に拡大

そこで、定額制動画配信サービス「Hulu」にヒントを得て、
2013年に5教科8科目を月額980円で視聴する形に変更。
すると会員数が大幅に増加しました。

さらにコロナ禍で学校の休校が相次ぎ、自宅学習の需要が高まったところで、
月額1,980円に値上げ
すでに講座の数が4万本を超えており、質量ともに充実していたことから、
解約する人より新規で契約する人が増え
会員数は2倍になったそうです。

オンライン化で拾えた3つの未開拓層

学習塾の対象となる学齢人口が減少し、
参入事業者がパイを奪い合うレッドオーシャンの状況で、
なぜ「スタディサプリ」が売上を伸ばし続けられているのか。

それは「新しい顧客層を開拓したこと」です。

まず、学習塾が提供するリアルな授業にはないメリット、
価格が圧倒的に安い」「先生の質が高い」「近所に塾がなくても授業が受けられる
といった点は、
塾に行きたいけど経済的に行けない」「授業の質を妥協したくない」「地方在住で近所に塾がなく諦めていた
人にとって、待ち望んでいたサービスなのですね。
学習塾が開拓できなかった層にアプローチしたことが大きかったわけです。

学習塾と違って、受講者である子どもの自主性に依存するところはデメリットですが、
購入者の保護者にも学習状況を伝えることで、
サービスからの離脱を防いでいます。

BtoBモデルが生む追加LTV

また、「スタディサプリ for TEACHERS」という学校の先生向けのサービスもあります。
これは、生徒一人ひとりに合わせた講義やテストを配信したり、
情報をデータベース化して管理したりできるサービスです。

学校と提携するのは、学習塾ではなかなかできませんし、
生徒一人ひとりにあった学びを実現できるのは、
個別指導塾並の取り組みですよね。

各学校に営業担当がついて、それぞれの学校に合った「スタディサプリ」の活用法を伝えるなど、
授業の改善に役立つフィードバックまで提供しています。

このように「スタディサプリ」は、
単にオフラインで提供していたものをオンラインで提供したというわけではなく、
オフラインでは価値を享受できなかった顧客層に向けて、
オンラインのメリットを生かしてアプローチしたのだとわかりますね。

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