まず、エネルギーが集まる場を作る

まず、エネルギーが集まる場を作る

※2022年12月6日配信メルマガVol.205より抜粋(一部加筆修正あり)

「Jリーグ」は赤字のクラブが多い!?

サッカーW杯決勝Tの対クロアチア戦では、
惜しくもPK戦で敗れ、ベスト16に終わりましたが、
まさか日本がドイツとスペインを破り、
グループステージを首位で通過という結果を予想していた人は、
正直さほど多くなかったのではないでしょうか。

さて、日本国内には「Jリーグ」というプロサッカーリーグがあり、
J1~J3まで58クラブが全国40都道府県をホームタウンとして存在しています。

Jリーグのページでは、クラブの経営情報が公開されているのですが、
コロナ禍ということもあり、赤字のクラブが多く
なかなか経営状況が厳しいことがわかります。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/about_jclubs/management_jclubs/

集客に苦労した「アルビレックス新潟」がしたことは?

この中で目を引くのが、
2021年度決算で、J2中最も純利益を出している
アルビレックス新潟」ですね。
2022年度はJ2優勝を決め、
来シーズンからのJ1昇格をものにしました。

経営状況もチームの成績も順調なアルビレックス新潟ですが、
チーム立ち上がり当初は集客にずいぶん苦労したそうです。

2000年頃は、1試合平均の観客数が5000人ほどで、
1.5万人入るスタジアム(当時は新潟市陸上競技場)がスカスカだったのです。

2002年日韓ワールドカップを目前に、
4万人収容の新しいスタジアム「ビッグスワン」も完成し、
これでは閑古鳥が鳴いてしまうという状況。

しかし、当時の経営陣は、
海外の様々なスポーツの視察を通して、
新スタジアムの完成に自信を持っていたようです。

1試合平均の観客数が5000人ほどなのに、
その8倍もあるスタジアムになぜ自信を持ったのでしょうか?

それは、「スタジアムの雰囲気自体」が売り物になると考えたからです。
魅力的なスタジアムがあることで、
ガチのサッカーファン(ヘビー層)だけでなく、
たまにサッカーの雰囲気を楽しみたい人たち(ライト層)を集めることができ、
そこに観客の熱気が生まれ、
エンターテイメントになる
ということなんですね。

そのためにやったことは、
なんと「入場券を無料で配布する」という施策でした。
ものすごいギャンブルのように思いますが、
意外とスポーツマーケティングにおいて有効な手法の1つです。
なぜなら、ゲームを生で観戦することで、
感動した人がリピートしてくれたり、
SNS等で口コミを広げてくれるからです。

地元との「一体感」を共有したアルビレックス

また、アルビレックスはスター選手が多くいるわけでもありませんが、
地元新潟に根付いたチームであり、
「J1昇格を目指す」という目標を
選手だけでなくファンや地元民も一緒になって追いかけることで、
「一体感」を共有していることが強みなのではないでしょうか。

スター選手のいるチームであれば、
選手たちのすごいプレーを見るという、
「企業と客」のような関係になりがちですが、
アルビレックスの場合は、
「選手や監督やコーチも、運営会社も、ファンも地元民もアルビレックスの一員」
のようになって一緒にチームを盛り上げているように感じるのです。

その結果、根強い関係が生まれ、リピーターになり、
コロナ禍でも経営が安定しているのではないかなと思いました。

同じくファンのエネルギーを集めてV字回復した「V・ファーレン長崎」

そして、このような考え方でチームの経営をV字回復させた、
ある別のチームがあります。
ジャパネットたかたの創業者、高田明さんがスポンサー支援していて、
2017年5月に完全子会社化した「V・ファーレン長崎」です。

それまで1億3000万円の大赤字だったV・ファーレン長崎でしたが、
2017~2019年、2021年は最終黒字化に成功しました。

高田さんは、スタジアムを観察していて、
「ファンは単に試合観戦をしにくるのではなく、
そこでエネルギーを得て、明日への活力にしているんだ」
ということに気づき、
試合前、試合中、試合後もずっと長く楽しめる空間づくりを志しました。
スタジアムのテーマパーク化です。

一度スタジアムにくれば、ファンになってしまうような、
ファンのエネルギーを集める場所を作る。

これって、オフィスづくりでも応用できる考えで、
スタッフやお客さんが訪れたくなるような場所を作ることで、
そこにエネルギーが集まり、ビジネスが生まれるのではないでしょうか。

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