※2022年8月16日配信メルマガVol.189より抜粋(一部加筆修正あり)
目次
創業時のAmazonの課題は「クレカ登録してもらうこと」
世界最大のECサイト米Amazonは、
最初から私たち一般消費者を顧客層として選んだわけではありませんでした。
「事業開発一気通貫 成功への3×3ステップ」(秦 充洋 (著))によれば、
1994年にシアトルのガレージで創業した頃のAmazon最大の課題は、
「顧客にクレジットカードを登録してもらうこと」。
確かに、買い物をしやすくするという点で最も大事なことですよね。
しかし、ECサイト自体がさほど信用されていなかった時代で、
さらにベンチャー企業ということもあり信用力がなく、
一般消費者にクレカの登録をしてもらうことが難しかったのです。
Amazonの最初の顧客層は「高度な専門知識を持つ人たち」
そこで、Amazonが最初に顧客層としたのが、
「エンジニアや研究者、医師たち」でした。
彼らに共通するのは高度な専門的知識を扱っている点です。
そんな知識を補うための専門書を取り扱う書店って少ないので、
お目当ての1冊を入手することが困難という課題がありました。
そんな課題を、Amazonが
「専門書をインターネットで検索して見つけることができ、
クレジットカード決済で購入すると2週間で届く」
という仕組みを作ることで解決し、
瞬く間に評判が広がりました。
口コミで評判が広がった後に、
一般書籍や家電など、扱う商品が増えて、
顧客層が「一般消費者」に広がったのですね。
より広い顧客層に届けるための「2段階のターゲティング」
このように、まずニッチな顧客層のニーズを満たしてから
次にマスな顧客層を狙うのが、
「2段階のターゲティング」です。
いきなりマスを狙っても、信用がないままでうまくいかなかったと思いますが、
「2段階のターゲティング」なら、
最初に絞り込んだ顧客層で、商品・サービスの販売実績を作れれば、
その実績が信用となり、より広い顧客層に訴求をすることができます。
ここでのポイントは、
最初に「より悩みの深い層」にアプローチしたのが良かったのではないかと思います。
ただニッチであればいいわけではなく、
「専門書が欲しいけど手に入れられない」
という切実なニーズを満たしたことが成功につながったのですね。
一度ニッチなところで成功してしまえば、
次は「早く楽に安く買い物をする」という、
一般消費者層のさほど強くないニーズに対しても訴求できます。
なぜなら、市場で売れた事実があって信用できるからです。
便利そうだし、みんなが使っているなら自分も使ってみようかな、
という感じで、クレカ登録にも抵抗がなくなって、
次々とユーザーが増えるというわけです。
2段階のターゲティングが有効な理由
こうなるとかなり有利です。
まず、「投資資金ができる」ことが挙げられます。
ニッチな顧客層への販売で得た利益を、
マスな顧客層への販売のための投資に回していけば、
最初からマスを狙う他社よりもマーケティングを強化できます。
次に、「先に顧客基盤ができる」ことが挙げられます。
後発が参入してきても、
「Amazonの二番煎じでしょ?」
ということで、たまに浮気されることがあっても、
結局はAmazonに戻ってきます。
さらに、「オペレーションのノウハウができる」ことです。
すでに実行してきた業務のオペレーションを横展開できるので楽ですし、
どんどんやり方を改善していくので、
0からノウハウ構築する他社が追いつくことはできません。
このように、最初に「悩みの深いニッチな層」を顧客として、
次に「より広いマスな層」へと広げていく
「2段階のターゲティング」が、
事業を拡大していく上で良いのではないかと思います。
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