販路開拓のカギは複数の知的財産権の組み合わせ

販路開拓のカギは複数の知的財産権の組み合わせ

※2022年9月20日配信メルマガVol.194より抜粋(一部加筆修正あり)

機能的な低座椅子「ゴイチ」

ゴイチ」という「座る・足置き・うつぶせ・肘置き・まくら」の「5つ」の機能を備えた、
高さ10cmほどの低座椅子の商品があります。
http://akatoshiro.com/
https://akatoshiro.base.shop/categories/4140665

普段使いやお気に入りのタオルを「1枚」座面にかけることで、
いつも清潔に心地よく使えるというコンセプトから
「5×1」=「ゴイチ」と名付けられたようです。

特徴的な形状と豊富なカラーバリエーションが人気なようですね。

座面の張地は、オリジナル以外に、
北欧などのテキスタイルの企業や作家の生地のものもあり、
こちらは「コラボゴイチ」と称して展開しています。

他にも、デニムや帆布、着物といったいろいろな生地を送ってもらい、
その生地で張地を作るリサイクル事業も検討しているとか。

売上が伸びたきっかけ

「ゴイチ」はオンラインで一般向けに販売されていますが、
実は地元の旅館やホテル向けの販売が決まったことで、
売上が伸びたそうです。

元々地元へ貢献したい思いがあったそうで、
地元の旅館やホテルに企画書を書いたところ、
ホテルのHPでの販売や、和室への導入、売店での販売が決まったとのことです。

やはり販路の開拓がうまくいったことで、
ビジネスを軌道に乗せることができたのですね。

企画が通ったのは「知的財産権」のおかげだった

そして、この企画提案の際に役立ったのが、「知的財産権」の存在。
「ゴイチ」のブランド名は、商標登録されており、
他者が同じ・又は類似のネーミングをすることができません(登録第6293570号)。

また、「ゴイチ」の座椅子の特徴的な形状は、
意匠権と実用新案権で保護されています(意匠登録第1588629号、実用新案登録第3209258号)。

なぜ意匠権と実用新案権の両方を取得するのかと言うと、
意匠権は「デザインの新しさ」を保護する権利で、
実用新案権は「構造の技術的な新しさ」を保護する権利という違いがあるからです。

これにより、「ゴイチ」の類似品をより効果的に排除することができるのですね。

類似品を排除できるということは、それだけ「信頼できる」ことの証ですから、
結果として企画提案が通りやすくなるわけです。

「実用新案権」は権利をとった後が注意!

ただ、実用新案権は、やや注意が必要な権利になります。
なぜなら、似たような権利の特許権と違って、
審査がされずに登録されて権利が発生するからです。

特許や意匠、商標みたいな審査がされないなんて、お得じゃんと思うかもしれませんが、
その分、いざ類似品に対する権利侵害を警告する際に、
「実用新案技術評価書」と呼ばれるレポートを
特許庁から入手
した上で行わなければなりません。

レポート内容によっては、
その実用新案権に「登録できない理由が含まれていた」ことを知るかもしれません。
すると、もはや権利侵害だと訴えることができないわけですね。
その状態で警告したりすると、逆に相手方から損害賠償請求されてしまうこともあるのです。

つまり、実用新案権は、特許に比べて権利として安定性が低いので、
権利化後に苦労することがあるかもしれないということです。
権利期間も、特許が「出願から20年」であるのに対し、
実用新案は「出願から10年」と半分しか維持できません。

「実用新案権」の役割とは?

このような観点から、実用新案権は、
どちらかというと、
「権利を取得していますよ」という
相手を牽制するような役割や、
宣伝広告的な役割を果たすためのもの
として使われることが多いです。

この点、意匠権は、
これらの牽制や宣伝広告の役割に加えて、
製品の形状の類似品を効果的に排除する役割も兼ね備えていますし、
権利期間も「出願から25年」と長く維持できる特徴があります。

この辺りの違いを加味した上で、
商標権と意匠権と実用新案権を組み合わせると、
製品の長期的なブランディングを実現することができ、
安定した売上・利益を作ることができるんですね。

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