※2019年2月12日配信メルマガVol.6より、一部加筆修正の上抜粋
最近、SNSでの自社スタッフ個人による“不適切投稿”事案が、再び増加している印象です。
某回転ずしチェーンのアルバイトスタッフが、調理中の魚をゴミ箱に捨ててからまな板に戻す動画をアップするや、
株価が前日比でマイナス130円の暴落となり、時価総額27億円の損失となりました。
他にも、某大手カラオケ店のスタッフが、唐揚げ用の鶏肉を床に擦り付けてから油で揚げたり、
某牛丼チェーン店のアルバイトが、床に氷を投げつけ、調理器具を股間に当てて大騒ぎしたり、
某コンビニチェーンの店員が、売り物のおでんを口に入れては吐き出して踊り出したり。
ため息の出るような呆れるニュースが跡を絶ちません…。
SNSでの不適切投稿や炎上事件は、
2013年頃から主にTwitterで頻発し、
「バカッター」「バイトテロ」などと騒がれるようになったので、
今に始まったことではないのですが、
未だにこうして発生するということは、
未然に防止する難しさを象徴しているともいえます。
一部では、競合他社がライバルを蹴落とすために送り込んだのでは?とか、
下落した株を大量購入するために騒動を起こしたのでは?
などと推測する人までいます^^;
賛否両論ある炎上ならいいのですが、
これらの”否”しかないような炎上案件が一度起こると、
企業側に起こる影響として、
「クレーム殺到」「信用低下によるブランド毀損」
「FC契約解除や休業、営業停止、店舗閉鎖」「株価暴落」
などが考えられます。
果たして、対岸の火事として笑ってよいのでしょうか?
何かしら対策は取っていますか?
対策は「炎上前」と「炎上後」に分けて考えます。
「炎上前」なら、
①社内規定やガイドラインを設ける
②社員教育を行う
③社員との契約書を交わす
④エゴサーチ等によるモニタリングをする
などが挙げられます。
①は始めに取り組むとよいでしょう。
ガイドラインの例は、大企業や官公庁のウェブサイト等に公開されているので、参考にされるとよいと思います。
コカ・コーラ社の例:
②は一番大切で、伝え方がポイントになると思います。
「会社の利益のために気をつけてほしい」というスタンスよりも、
「炎上当事者の個人情報が特定されて、執拗に攻撃される上、一生ネット上に残ってしまう」
というスタンスの方が、より自分ごととして捉えやすいでしょう。
また、「業務妨害罪」や「信用毀損罪」「名誉毀損罪」などの刑事罰に問われたケースや、
高額の損害賠償請求が認められたケースなどを紹介すると、よりリアルです。
脅すためではなく、社員を犯罪者や法令違反者にしないためで、
あくまでも立ち位置は、社員を守るための炎上予防教育、ということです。
もちろん、自社運営SNSの炎上対策や、お客様からのクレームによる炎上対策等と一緒にやるとよいでしょう。
③は社員に対する過干渉とならないよう配慮が必要です。
②とセットにして行うと、意識付けにおいて非常に効果的でしょう。
そこまではさすがに…と躊躇される場合は、
「顧問弁護士がうるさく言うので…」という言い訳は使いやすいです。
弊所のお客様でしたら、私の名前を使っても構いません。
面倒な要求は、法律家を“悪者”にして通しましょう。
責任を負わせるからには、賃金を上げるなどの調整もあるとよいかもしれません。
④はどこまでやるべきか負担の問題や、プライバシーの問題もありますが、
火が大きくならないうちに対処することは大切です。
SNSの監視ツール等も出ているので、参考にされるとよいでしょう。
「炎上後」の対応は、炎上内容にもよりますが、
まずは事案の確認です。当事者が特定できればさらによいでしょう。
次いで、適切な対応方針の決定。投稿の削除要求や、弁護士・警察への相談等、ケースによります。
そして謝罪。対応方針が決まってからの方が、「このように対処します」と言えるため鎮火しやすいです。
また、意外と忘れがちなのが、Google等への「関連ワードの削除依頼」。
自社名や商品・サービス名を検索キーワードとして入力した時に出てくる関連キーワードに、
ネガティブなものが含まれている場合に、削除してもらえる場合があります。
(ただし、時間がかかる上に、正答な理由がないと認められません)
情報の伝達や拡散が迅速化している中、炎上後の初動対応は早ければ早い方がよいです。
炎の広がり方は、火種となるSNS→他者SNS→掲示板サイトやまとめサイト→ニュースサイト→マスメディア
と伝わるにつれて大きくなります。
いかに初期段階で止めるかが鍵になりますね。
相次ぐSNS炎上を他山の石とし、
炎上発生を前提とした対策をしておくことで、
大難を小難にすることができることでしょう。
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