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意匠出願における「特徴記載書」とは何か?その重要性とは?
意匠出願を行う際に必須ではないものの、「特徴記載書(意匠の特徴を記載した書面)」の作成・提出を行うことがおすすめです。これは、審査官が意匠の創作的特徴を正しく理解し、他の意匠との違いを把握するための参考資料となります。しかし、どのように書けば良いか分からず、曖昧な表現になってしまう方も多くいらっしゃいます。
本記事では、弁理士の視点から、特徴記載書の基本と、書く際の注意点について分かりやすく解説します。
特徴記載書の基本とは
特徴記載書の目的と役割
特徴記載書は、出願された意匠がどのような点で創作的であるかを言葉で明示する文書です。出願に必須の書類ではありませんが、図面では表現しきれないデザイン上の工夫や構成の特徴を記載することで、審査官に意匠の特徴を伝える役割を果たします。また、新規性や創作性について説明できるという役割もあります。
特徴記載書を提出できる時期
特徴記載書は、出願時や出願が審査・審判・再審に継続しているときに提出することができます。
弁理士が解説する特徴記載書の書き方
正確な表現のコツ
- 【意匠の特徴】の欄
- 意匠の特徴を簡単かつわかりやすく記載します。
- 文字数は1,000文字以内で、簡潔に記載します。
- 図表は記載できないので、文字のみを記載します。
- 【説明図】の欄
- 図は、複数ページにわたって載せることはできません。
- 図は、横150mm、縦113mmを超えて載せることはできません。
特徴記載書の注意点
審査官の判断における直接の根拠にならない
特徴記載書の内容は、審査官が新規性等の拒絶理由を判断するにあたって、直接の根拠として用いることはありません。あくまでも、審査における的確なサーチ範囲決定のための参考情報として参照されるに過ぎない点に注意が必要です。
権利範囲に対する直接の影響力はない
意匠登録の範囲は、あくまでも願書の記載や図面等に現わされた内容に基づいて判断されます。したがって、特徴記載書の記載内容は、権利範囲に対して直接的に何ら影響を与えません。
意匠出願の成功につながる特徴記載書の工夫
差別化を明確にする記載の工夫
審査に直接影響しないとしても、実際には、特徴記載書の内容を参照した結果、意匠の創作上の特徴が審査官に伝わり、登録性を肯定的に評価するきっかけになる可能性はあります。
したがって、従来の意匠との差異や需要者の目を引く特徴部分などを明確に伝えることが、登録へ導く鍵です。
登録後のトラブルを避けるための視点
特徴記載書の内容は、登録後に意匠公報に掲載されるため、第三者によりマイナスに利用される恐れもあります。すなわち、特徴記載書の内容が、願書や図面等の内容や、審判や裁判での主張内容と矛盾するようであると、「禁反言」と言ってこちらの主張が認められなくなることも考えられます。
このような場合、権利行使に支障をきたして模倣品対策で不利になることがあるため、将来のトラブルを防ぐためにも、記載の一貫性が重要です。
まとめと結論
特徴記載書が意匠登録に与える影響
特徴記載書は補足資料という位置付けですが、意匠の本質を伝える役割を果たします。適切に記載された特徴記載書は、意匠の創作性を印象づけ、登録成功の可能性を高めます。
弁理士に相談するメリット
特徴記載書の記載には、法的な理解と実務的なノウハウが不可欠です。弁理士に相談することで、リスクを最小限に抑えつつ、意匠の権利化をスムーズに進めることができます。
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