意匠登録の費用|弁理士がわかりやすく解説

意匠登録の費用|弁理士がわかりやすく解説

「意匠登録にはいくらかかるの?」——出願を検討すると、まず気になるのが費用です。ここでは公費(特許庁に納める手数料)と、実務で発生しやすい周辺費用を整理し、総額の目安まで一気に把握できるようまとめました。


公費(日本・単一意匠)

  • 出願料16,000円/意匠
    (複数意匠一括出願でも、1意匠につき16,000円
  • 登録料(年ごと)
    • 第1〜第3年:各 8,500円/年
    • 第4〜第25年:各 16,900円/年
      ※第2年分以降は、設定登録日を基準に前納が必要です。
  • (任意)秘密意匠の請求5,100円/意匠
    →登録後も最長3年、意匠公報に掲載せず非公開にできます。

補足:意匠は審査請求手数料が不要です(特許は別途必要)。


総額の概算例(公費のみ)

  • 25年間フルに維持
    出願料 16,000
    +(8,500 × 3年)25,500
    +(16,900 × 22年)371,800
    = 合計 413,300円(秘密意匠なしの場合)
  • 10年間維持
    出願料 16,000
    +(8,500 × 3年)25,500
    +(16,900 × 7年)118,300
    = 合計 159,800円

※いずれも1意匠あたり・公費のみの概算。実務では下記の周辺費用が加わります。


実務で発生しやすい周辺費用(目安)

  • 図面作成費:数万円〜十数万円(造形の複雑さ・視図の数で変動)
  • 弁理士費用:数万円〜十数万円
    • 事前調査・助言
    • 出願書類作成(願書・図面チェック・特徴記載)
    • 審査対応(拒絶理由通知への意見書・補正書)
    • 年金(年ごとの登録料)管理

図面は権利範囲のコアです。線の太さや陰影、破線の使い方ひとつで解釈が変わるため、プロによる作図・監修をおすすめします。


コスト最適化のコツ

  1. 公開前に出願
     新規性喪失を避けるのが最も安上がり。後追い対策(例外主張や無効審判)は費用・時間が嵩みます
  2. 関連意匠でバリエーションを保護
     色違い・小改良・派生モデルは関連意匠で面を張ると、バリエーション展開や将来のデザイン変更等に強くなります。
  3. 部分意匠で“肝”を押さえる
     全体ではなく模倣されやすい特徴部のみを狙うと、図面枚数・審査難度を抑えつつ実効的にカバーできます。
  4. 秘密意匠の活用
     発売直後の模倣を遅らせたい、設計思想を早期に晒したくない場合は非公開(最長3年)も検討。
  5. 商標との併走
     デザインは意匠で25年、名称やロゴは商標で半永久。特定のデザインを長年使用することで、自他商品等の識別力を獲得した場合は、立体商標による登録も可能性あり。両輪で守ると投資対効果が高まります。

よくある質問

Q. 年ごとの登録料は、いつ納付すればいい?
A. 設定登録日が基準です。各年分はその前年までに前納します(第2年分以降)。納付忘れは権利消滅のリスク。年金管理体制の整備が重要です。

Q. 複数デザインを一度に出したい
A. まとめて出願しても出願料は1意匠ごとに16,000円です。シリーズの設計次第では、関連意匠で効率化できます。

Q. 海外出願の費用感は?
A. ハーグ国際出願を含め、WIPO手数料+各指定国の手数料+現地代理費が必要。対象国・件数で大きく変動します。発売時期・予算から逆算して設計しましょう。


まとめ

  • 公費の核は、出願料 16,000円と、年ごとの登録料(1–3年:8,500円/年、4–25年:16,900円/年)
  • 25年フル維持の公式費用総額は約41万円/意匠(秘密意匠なし)。
  • 実務では図面・審査対応・年金管理などの周辺費用が乗るため、戦略設計でムダ打ちを減らすのがポイント。

まずは費用対効果の見極めから。
当所では、費用見積(公式費用+実務費用)関連・部分意匠を織り込んだ出願設計年金管理までワンストップでサポートします。
「どこまで押さえるべきか」「いくら投下すべきか」を、案件別に最適化してご提案します。