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★質問
朗読において、著作権に触れずに読める場合がある
「口述権」という権利を知りました。
説明を聞いてもピンとこないので教えてください。
★回答
確かに、著作権の一種で「口述権」という権利があります。
著作権法第24条に
著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。
と規定されていて、「朗読」することも「口述」に含まれるんですね。
そして、その例外規定として、
営利を目的とせず、観客から料金をとらない場合は、公表された著作物を口述することができる。ただし、出演者などに報酬を支払う場合はこの例外規定は適用されない
と、著作権法第38条に規定されています。
つまり、利益を得る目的ではなく、観客からもお金を取らない、
出演者に報酬も支払わない場合には、
公表された著作物を口述できる、朗読できるということです。
ここまで聞くと、ご質問者さんの言っているように、
著作権に触れずに読める場合があるじゃないかと、
前回までの話(引用の場合を除き、無断で朗読配信はNG)は嘘だったんじゃないの?
と思うかもしれません。
しかし、重大な事実をお伝えしますと、
著作権法でいう「口述権」というのは、
オフラインの場、アナログの場で、
みんなが現実の同じ空間にいる場合に
朗読した時の話なんですね。
つまり、ネット上でオンラインの場で朗読する行為は、
「口述権」の対象にはなりません。
これは「公衆送信権」の対象になるんです。
したがって、
オフラインの場では、
利益を得る目的ではなく、観客からもお金を取らない、
出演者に報酬も支払わない場合に、
無許諾で朗読できます。
でも、
オンラインの場では、
たとえ利益を得る目的ではなく、観客からもお金を取らない、
出演者に報酬も支払わない場合であっても、
無許諾で朗読することはできません(引用を除く)。
ここがとても大事なポイントになります。
著作権を少し勉強された方は、
必ずと言っていいほど、ここにぶち当たって、
よく誤解してしまうんです。
だって、条文にはオフラインとかオンラインとか書いてないですからね。
(一応、著作権法第2条7項では、「口述」から「公衆送信」が除かれる旨規定されていますが。)
(一応、著作権法第2条7項では、「口述」から「公衆送信」が除かれる旨規定されていますが。)
でも、ネットという空間は、
非常にコピーされやすい、拡散されやすい場所なので、
著作権者にとって影響が非常に大きい、
だからアナログと同じように考えるわけにはいかないのです。
だから「公衆送信権」という放送とかインターネットによる配信に関する権利が、
別に規定されているんですね。
ぜひ覚えていただければと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。