こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/60f7ed5a2c4b2c00066d53a2
以前、音声配信の中で「歌ってみた」配信をする時や、
アイコンやサムネ画像を使う時のの注意点について、解説しました。
今回は、配信の中で朗読をする時の注意点について取り上げます。
stand.fm非公式の見解なので、
その点は何卒ご了承ください。
朗読については、すでに下記でも説明していますが、
もう少し噛み砕いてお話します。
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1793″]
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1796″]
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=2075″]
目次
★原則
まず原則ですが、本を朗読して音声配信することは、
著作権の中の複製権と公衆送信権の侵害になる可能性があります。
なぜかというと、
本来はその本を購入することでしか手に入らなかった、
知識や感情などを、
その音声配信を聞けば手に入ってしまうので、
著者だとか出版社は、収益を上げるチャンスを失ってしまいますよね。
そうすると、モチベーションが上がらないどころか、
経営や生活ができなくなるかもしれないので、
もはや誰も本を書こうとしなくなってしまいます。
そんなことになったら、日本の出版の文化が発展しなくなるということで、
著作権法で権利を守ることにしているわけです。
ここで一つ疑問に思うかもしれません。
「ビジネス目的ではなく、個人的な配信なんだから問題ないんじゃないの?」
とか
「SPPじゃないし、何の収益も発生してないからいいのでは?」
などですね。
しかし、あなたに収益が発生しているかどうかは関係がなくて、
先ほどの説明にもあったように、
著者や出版社などが、収益を上げるチャンスを失う可能性があることが問題なんですね。
そういった理由から、原則として朗読の配信が認められないことになります。
ただし、原則には必ず例外がありますので、
次に例外を3つご紹介します。
★例外①:著作権が消滅している場合
例外の1つ目は、著作権が消滅している場です。
以前にもご説明しましたが、
「本を書いた人が亡くなった後70年が経過」すると、
著作権は消滅します。
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1828″]
著作権が切れていれば、
もはや誰の許可もなく、配信の中で朗読をすることができるわけですね。
例えば、「青空文庫」に公開されている作品の中には、
著作権が消滅した作品があるので、
その作品を朗読配信することができます。
https://www.aozora.gr.jp
ただし、著作権が存続しているものもありますので、
朗読の際は「青空文庫」のサイトをよく読んでからご利用ください。
https://www.aozora.gr.jp/guide/roudoku.html
★例外②:許可がある場合
例外の2つ目は、権利者の許可がある場合です。
著作者や著作権者から許可をもらっていれば、
配信で朗読することができます。
個別に許可をもらうケースもありますし、
その作品についてあらかじめ
「朗読配信していいですよ」と表明しているケースもあります。
後者の例で、1つ耳寄りな情報があります。
すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
6月7日から、物語投稿サイト「monogatary.com」に投稿されている対象作品を、
stand.fmで朗読できるようになりました。
詳しくは下記のスタエフの公式noteをご覧いただきたいのですが、
こちらに掲載されている全20作品については、
スタエフ内で朗読することができます。
※参考:stand.fm公式note「monogatary.comの対象作品が、stand.fmで朗読できるようになりました。」
https://note.com/standfm/n/n9253c7d2bb06
2点注意なのが、
「投稿のルール」の記載を、きちんと守って行うことと、
スタエフ以外の配信プラットフォームでは朗読しないことです。
特に後者は、ついつい「著作権フリー」と勘違いしがちですが、
そうではありません。
あくまでもスタエフ内での利用が許可されているだけなので、
複数のプラットフォームで配信されている方は、お気をつけください。
★例外③:「引用」に当たる場合
例外の3つ目は、著作権法上の「引用」に当たる場合です。
引用については、最近の記事でも詳しく説明しましたし、
これまで何度もご説明しているので、
すでに知っている方も多いと思います。
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=2221″]
引用は、批評や報道、研究などの目的で、
公表された著作物を、著作権者の許諾なしで利用できることをいいます。
もはや朗読が目的というより、
自分のコンテンツのために、手段として他人の作品を朗読する、ということですね。
正しく引用するには、4つの要件を満たす必要があります。
その4つとは、
①引用部分とその他の部分を区別できること
②引用部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメインであること
③出典を表示すること
④勝手に表現を変えないこと
です。
もう少し詳しく説明しますね。
①引用部分とその他の部分を区別できること
例えば、引用する部分を読み上げるときに、
前後に間を空けて、
「…とこの本には書かれています」
のように話すことで、区別できるようになります。
また、話す速度を変えたり、声を変えたりすることでも区別できます。
②引用部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメインであること
引用部分に対して、自分はこう思うとか、こういう説もあるとか、
詳しく説明するとこういうこと、などのように、
自分の解説部分が主軸になるような配分にするということです。
③出典を表示すること
これは、配信の中で出典を紹介してもいいですし、
わかるようなら概要欄に書いてもいいです。
最低限、作品名と著者名は書いておくといいですね。
④勝手に表現を変えないこと
引用部分は、自分で要約したり余計に足したり引いたりせず、
そのまま読むということです。
これら4つの大前提として、
すでに公表されている著作物を引用することが必要です。
また、引用の目的上正当な範囲内でないとならず、
自分の解説部分と関係ない文章を引用したり、
必要以上に引用したりすることは、認められません。
これらの点を気をつけて引用してみてください。
以上、音声配信の朗読は、原則著作権侵害ですが、
例外が3つあって、
著作権が消滅している場合、権利者の許可がある場合、引用に当たる場合は、
朗読を配信できるということを覚えておいてください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。