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今回は、ご質問をいただいたので、それについてお答えします。
★ご質問
“古事記・日本書紀は著作権などはないかと思いますが、利用権や改変みたいなことはどうなんでしょうか?皇室と何かしら関係あったりかもと心配になったりします”
★結論
古事記や日本書紀の「原文」には著作権がないので、
誰の許可もなく自由に利用できますし、
自分なりに改変することは問題ありません。
例えば、古事記を題材にして歌舞伎やお能にしたり、
ミュージカルにしたり、
ロックの楽曲にしたりすることも大丈夫です。
もちろん、古事記を編纂した太安万侶(おおのやすまろ)や、
日本書紀の編纂に携わった人たちに、
リスペクトの気持ちを持つことは大切ですね。
また内容に歴代天皇のことが書かれていますが、
現在の皇室に対して権利のことを気にする必要もありません。
歴代天皇は、皇室の方々の祖先ではあるのですが、
あまりに侮辱するようなことをしなければ、
気を害されることもないでしょう。
ただし、すでに誰かが現代語訳したものや、
古事記などを題材にした舞台を演じたものなどは、
これらを創作した人に著作権がありますので、
無断で利用したり、改変したりすることはできません。
つまり、原文を自分でアレンジするのはあり、
誰かがアレンジしたものを、勝手に使うのはダメ、
ということですね。
★二次的著作物
こういった、元の著作物をベースにして新たにできた著作物を「二次的著作物」と言います。
古事記や日本書紀の場合は、
著作権という概念のない時代の作品なので、
厳密には「二次的著作物」とは言えないかもしれませんが、
少なくとも、現代で誰かが創作的に表現したものは著作権があることには変わりありません。
ちなみに、もし誰かの二次的著作物を使いたいという場合で、
元の著作物にまだ著作権がある場合は、ちょっと注意が必要です。
どのような注意かと言うと、
二次的著作物の権利者から利用許諾をもらうのに加えて、
元の著作物(原著作物)の権利者からも利用許諾をもらうのが必要な点です。
例えば、米国で英語で書かれた小説を日本語訳した本があるとして、
その日本語訳の本を映画化したいと言う場合、
日本語に翻訳した人からだけでなく、
原著作物である英語の小説の作者からも、
許諾をもらう必要があります。
日本語訳した人から許可を得たからいいだろうと思って、
勝手に映画化してしまうと、
小説の原作者から勝手に使うなと怒られてしまうかもしれません。
また、原作者から許諾をもらった場合でも、
原作者の名前をきちんと表示したり、
原作の内容を大きく逸脱しないよう気をつけたりする必要はあるので、
その点はご注意ください。
以上がご回答になります。
また何かご不明な点がありましたら、
お気軽にお尋ねください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。