特許切れで崖っぷち──“レゴらしさ”回帰で売上1兆円超のV字復活を導いた戦略

特許切れで崖っぷち──“レゴらしさ”回帰で売上1兆円超のV字復活を導いた戦略

※2025年5月20日配信メルマガVol.333より抜粋(一部加筆修正あり)

絶好調「レゴ」も、かつては倒産危機に!

プラスチック製のブロック玩具で有名な「レゴ」は、
今も順調に業績を伸ばしていて、2024年は13%成長。
売上は約1兆6200億円に達したそうです。

しかし、そんなレゴも、90年代後半から2000年代前半にかけて業績が低迷し、
2004年には倒産の危機に陥っていたことをご存知でしょうか?

2000年から2004年で売上は約20%減少、
純損失は約360億円に達し、
商品ラインナップも過剰に広がり、
従業員数も10000人を超えて人員過剰になっていました。

特許に頼るのは危険?!権利期限切れに要注意

失敗の理由の1つとしては、「特許権切れ」が挙げられます。
ブロック連結の技術の特許権を保有していたものの、
権利期間が満了して自由に使えるようになった結果、
安い模倣品・類似品が大量に登場してシェアを失いました。

原則として、特許は長くても出願から20年しか権利を持つことができませんし、
権利化した技術と異なれば、同じ効果を持つ商品を作ることは可能です。
つまり、特許による市場独占は限定的なものでしかないのですね。

特許に頼ることは結構危険なことなのです。

また、TVゲーム機が一般家庭に普及して、
ブロック玩具そのものの需要が減ってしまったことも挙げられます。
これでは、いくら新製品を出しても見向きもされません。

"レゴらしさ"を失い客離れが加速

そこで、経営を立て直そうとして、新たな経営者を迎え入れました。
レゴの顧客ではなかった人に向けて興味を持ってもらおうとして、
アクションフィギュアにぬいぐるみ、衣料品、映画のキャラとのコラボ、
ゲームにテーマパークなど、いろいろなことに挑戦。

しかし、”レゴらしさ”を失った商品やサービスに人は見向きもせず、
約220億円の赤字、約1,280億円の負債を出してしまったのです。

長年築き上げたレゴのブランドに合わないことをしたがために、
既存のお客さんも離れてしまう事態となりました。

その結果、2004年に新たなCEOが破綻寸前のレゴの経営を引き継ぐことになったのです。

原点回帰で客足が戻りV字回復

新体制では、レゴのブランドの原点である
「System in Play」という理念に回帰

これは、ブロック同士を互いにつなぎ合わせることによる拡張性が特徴で、
商品を買うほど楽しみが広がるという価値を提供するものです。

かつては特許を取得していた技術ではありますが、
その技術そのものの価値というより、
その技術を通じて顧客にもたらす価値に着目したのですね。

拡張性という価値に見合った「レゴシティ」などの商品ラインナップを強化していく一方で、
それ以外の関係のないことを順次やめていき、
レゴのブランドらしさを取り戻していきました。

やがて、かつてのレゴファンも戻ってきて、
子供だけではなく、小さい頃にレゴで遊んだ
大人のレゴファン(Adult Fans of Lego: AFOL)
が商品を買い求めてくれるようになったそうです。

結局、長い目線で見ると、
大事なのは特許などの技術単体ではなく、
“レゴらしさ”というお客さんが感じている価値であり、
価値を表すブランドなのですね。

ぜひ、レゴが崖っぷちから経営を立て直したように、
長期目線で自社のブランドを築き、ブランドらしさを大切にしてください。

参考:
「レゴはいかにして倒産寸前の状態からV字回復を果たしたのか -復活劇を支えたDX戦略と今後の展望とは-」
https://onecapital.jp/perspectives/lego

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