※2025年1月28日配信メルマガVol.317より抜粋(一部加筆修正あり)
アイリスオーヤマのCM起用継続判断が“好感度”を生んだ理由
先日、ある俳優がお酒がらみの不祥事を起こしたことがニュースになっていました。
その後、その俳優をCMに起用していた企業が続々と契約終了する中で、
アイリスオーヤマだけが継続を決定し、その旨を発表したところ、
ネット上で大きな賞賛を得ていたのです。
https://www.irisohyama.co.jp/news/2025/?date=0114_2
通常、こういった不祥事の際は契約解除できる旨の条項が盛り込まれているので、
契約終了するのは何ら悪い対応ではありません。
むしろ、起用継続することで自社にマイナスイメージがついてしまう恐れもあったはずです。
不祥事の内容や、その後の所属事務所の対応等と照らし合わせた上での決定なので、
かなり高度な判断が求められたと思いますが、
この判断が功を奏して、結果的に自社PRに成功したんですね。
しかも、単にCM起用継続の発表にとどまらず、
「卓越した表現力と幅広い支持層を持つ俳優です」というファンも歓喜する言葉や、
「今後の挑戦を応援し、共に頑張っていきたい」というポジティブなメッセージまで添えていて、
自社の好感度をかなり上げていました。
かなり策士ですね笑
ビジネスの核は「好感度」である
そして、この「好感度」というのは、
消費者の商品購入時の選択を決定づける、大変重要な要素です。
日本有数のマーケターである森岡毅さんによると、
あるカテゴリーにおける消費者のブランド選択は、
プレファレンスの順位が高ければ高いほど、
購入確率がより高くなる傾向にあるそうです。
※「プレファレンス」は、相対的な好意度、つまり好み、好感度のこと
(「確率思考の戦略論」 https://amzn.to/42vQb3W より)
ようは、ビジネスはいかに「勝てる確率を高めるか」のゲームであるところ、
その本質は「プレファレンス(好感度)」だというわけですね。
消費者がものを買う時の手順
これまで何度か解説したように、
消費者がものを買うときは、
- 最初に悩み(ニーズ)や欲しいもの(ウォンツ)が発生し、
- その後に頭の中にある引き出しから
これらを解決してくれる商品・サービス名をいくつか思い浮かべ、 - その中から一番好感を持っている商品・サービス名を選ぶ
という手順を踏みます。
今回の件で、アイリスオーヤマの好感度が上がったことで、
- ある家電がほしいなと思った際に、
- 「アイリスオーヤマ」を候補として思い浮かべ、
- 好感度の高い「アイリスオーヤマ」を選ぶ
という流れが起きることでしょう。
今回はいわばハプニングのようなもので、再現性があるわけではないのですが、
ピンチをチャンスに変えた、アイリスオーヤマの対応はとても参考になります。
以上より、ビジネスの核である「好感度」を上げるために、
何ができるかを考えていきましょう。
