※2021年3月2日配信メルマガVol.113より抜粋(一部加筆修正あり)
「瓶ドン」とは?
突然ですが、「瓶ドン」ってご存知ですか?
“宮古の旬の食材を牛乳瓶に入れ、お客さま自身がその場でご飯にかけて食べる”
というユニークな特徴があり、
見て楽しみ、盛り付けて楽しみ、食べて楽しめる、
体験型のご当地丼として人気です。
(※サムネ画像は「宮古観光文化交流協会」HPより引用)
https://www.kankou385.jp/spacial2018/
SNS映えすることも、人気の一つかもしれませんね。
もともと、岩手県沿岸では、
“獲れたてのウニを、滅菌処理を行った海水と一緒に牛乳瓶に入れ保存する“
スタイルが一般的でした。
そこからヒントを得て考案されたのが「瓶ドン」です。
「瓶ドン」が観光資源になるまでのブランド戦略
宮古観光文化交流協会では、
この「瓶ドン」を観光資源として普及させて、
観光客の呼び込みができないか、考えました。
そのためには、「瓶ドン」を持続的に発展させていく取り組みが必要です。
まずは「瓶ドン」の文字とロゴについて、
商標登録を取りました。
これにより、他の業者に無断で使われることを防ぐことができ、
「瓶ドン」のブランド価値を高める土台ができます。
次に、「瓶ドン」を飲食店や製造事業者等へライセンス展開することにしました。
そのライセンス契約書内には、
「瓶ドン」の品質・価値の維持向上を図れるような文言が明記されることになったのです。
その文言というのが、
- ①容器は専用瓶を使用すること
- ②三陸など指定された産地の魚介のみを使い、その旨を明示すること
- ③宮古市に事業所を有していること
です。
(「知財総合支援窓口」HPより)
https://chizai-portal.inpit.go.jp/supportcase/2020/11/post-939.html
「瓶ドン」の品質・価値の維持向上につながる理由
①容器は専用瓶を使用することは、やはり「専用瓶」でなければ、
家庭で牛乳瓶を使って作るのと相違なく、
わざわざお店で出されてもブランド価値を感じにくいですよね。
透明で中の鮮やかな海鮮が透けて見える専用便に
「瓶ドン」のロゴを付するだけで、
観光客にとっては特別感がありますし、
SNSにもロゴが映えます。
「瓶ドン」という簡単な名前だから、ハッシュタグをつけて呟きやすいですし。
瓶を持ち帰りできないのは、衛生面からの理由もありますが、
観光客からすると”貴重さが演出されている”と見ることもできます。
(現在は通販でも取扱っていますが)
それから、
②三陸など指定された産地の魚介のみを使い、その旨を明示すること
と、
③宮古市に事業所を有していること
は、
宮古市の観光資源として「瓶ドン」を使う以上、当然のことですね。
きちんと使用する地域や使用できる業者を限定することで、
ブランドの管理もしやすくなります。
「瓶ドン」体験のブランド化
こうして、まず10店舗が「瓶ドン」を提供することになり、
次に宿泊施設でも「瓶ドン」が食べられるようになり、
さらには、通販も開始し全国各地で「瓶ドン」を楽しめるようになりました。
通販に関しては、2020年度上期までに4,000万円以上も売り上げるなど、
とても好調なようです。
こういったご当地グルメにスポットが当たることと、
観光地としてスポットが当たることには、
少々隔たりはあるかもしれません。
それでも「瓶ドン」を1つの楽しみに宮古に訪れる人が増えれば、
目的を達成することはできますよね。
個別の水産物のブランド化とはまた一味違う、
“体験のブランド化“の事例として、
参考になるのではないかと思います。
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