※2024年9月24日配信メルマガVol.299より抜粋(一部加筆修正あり)
目次
一度購入したら永久に履き続けられる?!「LIFE LONG」靴下
靴下といえば衣料品の中でも買い替える頻度の高い消耗品ですが、
一度購入したら永久に履き続けられる保証をしてくれる
靴下のブランドがあるのをご存知でしょうか?
2018年に登場したそのブランドの名前は「LIFE LONG」で、
「LIFE LONG」の商品を購入後、どこか1箇所に穴が空いた場合には、
商品購入時についてくる引換券があれば無料で交換してくれる、
というサービスを行っているのです。
https://www.lifelong-glenclyde.com/
「LIFE LONG」が永久交換保証する2つの理由
そういう意味での「永久”交換”保証」ではありますが、
一体なぜこんなサービスをしているのでしょうか?
理由①高耐久を可視化する“証明書”
私は2つ理由があるのではないかと思います。
1つは、「高い耐久性」をアピールするため。
「LIFE LONG」の特徴は、
「CORDURA」という通常のナイロンの7倍の強度を持つ糸を使っている点にあります。
軍服や防弾チョッキにも使われている合成ナイロンだそうで、
「CORDURA」を用いた結果、
通常の綿の靴下の6~10倍という耐久性を実現。
公的検査機関における摩耗テストの合格ラインである500回以上を大幅に超える、
なんと30,000回以上の基準値をクリアしています。
2022年には、表糸の加工方法と裏糸のブレンドを変えること等で、
さらに丈夫になったそうです。
この辺りの詳しい技術は
ノウハウ(営業秘密)として秘匿化しており、
特許は取っていないようですね。
リバースエンジニアリングしても内容がわからないものならば、
わざわざ特許で公開するのはリスクですからね。
しかしこの場合、「特許取得済み」と表記して、
高い耐久性をアピールすることはできません。
高耐久性を謳う靴下は他にもたくさんある中で、
どうやって知ってもらい、信じてもらえるのか。
そこで行き着いたのが「永久交換保証」というわけです。
「LIFE LONGはあなたが買う最後の靴下です」
なんて、普通はありえないコピーを示すことで、
消費者を立ち止まらせる力がありますよね。
これが大当たりして、各種メディアで数多く取り上げられ、
ECの取扱い店舗数も増えました。
理由②顧客接点でLTVを伸ばす
そして、もう1つ「永久交換保証」を打ち出した理由として考えられるのは、
「顧客との接点を作るため」
ではないでしょうか。
普通、靴下のような消耗品は、
一度買ったらメーカーに問い合わせる機会はなかなかないでしょう。
その点、「LIFE LONG」は穴が空いたら交換できるので、
メーカーであるグレン・クライド社に問い合わせる機会が発生します。
この顧客との接点を作ることで、
新しい商品やサービスの提案の機会も作れるので、
顧客生涯価値(LTV)を高めることができるわけです。
普通の消耗品ビジネスでは難しかった、”ファン化ループ“ができます。
「LIFE LONG」のメーカーは「アンクルソックス」の生みの親
元々このグレン・クライド社は、
1992年創業のそこそこ歴史のある靴下メーカー。
くるぶしまでのスニーカー用の靴下「アンクルソックス」の生みの親でもあり、
顧客の要望に合った商品を開発できるノウハウがあります。
したがって、「商品への信頼を高める」ことと、
「顧客との接点を増やす」ことの両面から、
「永久交換保証」というインパクトあるサービスを打ち出しているのでしょう。
「永久交換」の考え方自体は、「消耗品」を扱う他の分野でも応用できます。
例えば、「刃が欠けたら配送無料で交換する包丁」とか、「紐が切れたら無料で交換するスニーカー」とか、いくらでも思いつきますよね。
ぜひ何かしら実践できそうなものがないか、考えてみてください。