※2022年12月13日配信メルマガVol.206より抜粋(一部加筆修正あり)
インフレ加速で「値上げ」もやむなし
今年も残すところあと1ヶ月を切りました。
1年を振り返ってみると、経済面で象徴的なことといえば、
「インフレ」「円安」ではないでしょうか。
欧米諸国に比べれば、日本はさほどでもないですが、
原材料や資源の価格が上昇する
「コストプッシュインフレ」が発生し、
各社が商品・サービスの値上げに踏み切っています。
価格は据え置きでも、こっそり内容量を減らす「ステルス値上げ」も話題になりました。
最近では、(公表しているので「ステルス」ではないけれど)
山崎製パンの「薄皮シリーズ」の5個入りが4個入りになるということで、
同商品のファンからは悲鳴が聞こえてきました。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2212/06/news083.html
ただこのご時世、値上げは仕方ないことです。
労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇など以外での値上げについては、
消費者庁からすれば「便乗値上げ」になりますが、
そもそも原価だけを基準にして値決めするのは間違っています。
もちろん、原価も値決めの一要素ですが、
最終的には「顧客の価値」を基準にすべきでしょう。
テクニカルな値上げの方法
では、具体的にどのように値上げしていけばいいのでしょうか?
以前のメルマガで、「比較軸を変える」ことで「顧客の価値」を伝える値上げの方法をお伝えしました。
今回は、もう少し戦略的な例を1つ挙げていきます。
それは、フロントエンドとバックエンドの2段階にし、
「値下げと値上げを組み合わせる」やり方です。
「値下げ」するのは、入口となる「フロントエンド商品」。
「集客すること」を目的とするお試しの商品です。
一方、「値上げ」するのは、出口となる「バックエンド商品」。
「利益を生み出すこと」を目的とする本命の商品です。
①フロントエンド商品を値下げ
まず、フロントエンド商品を値下げすることで、
類似の競合商品よりも安く提供し、
お客さんを数多く集めます。
もちろん、たくさん集客するのは最終的にバックエンド商品を買ってもらうためです。
フロントエンド商品でガッカリさせてしまうと、
バックエンド商品への期待値が下がり、買ってもらうのが難しくなります。
したがって、フロントエンド商品こそ
お客さんにとって満足がいくものを作る必要があるんですね。
②バックエンド商品を値上げ
そして、フロントエンドで満足してくれたお客さんに、
本命のバックエンド商品を買ってもらいます。
ここで値上げをしても「顧客の価値」が感じられれば、
価格を気にせず買ってもらえる訳です。
ただ、値上げの仕方は一気にではなく、
徐々にした方がいいでしょう。
いきなり大幅UPしてしまうと、
心理的な抵抗があり、受け入れられないからです。
TSUTAYAはレンタル業ではなくデータ販売業?!
例えば、TSUTAYAはいまだにDVDやCDをレンタルしていますが、
この時代にレンタルで利益なんか出るの?と思うかもしれません。
しかしレンタルはあくまでもフロントエンド商品です。
TSUTAYA(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は、
レンタル事業を通じて「顧客データ」を集めており、
その「顧客データ」をバックエンド商品として、
企業に販売することで利益を出しているんですね。
Tポイントカードで、レンタル以外でもコンビニなどのいろんなお店からビッグデータを集めて、
顧客の行動属性を取得して企業に売る、マーケティング会社なのです。
その対価として、顧客にはポイントが付与されるという訳です。
TSUTAYAのレンタル単独店は、加盟料が1.1億円だそうですが、
その加盟料やロイヤリティはどうでも良く、
なんならレンタルだって、データさえ取れればタダでもいいはず。
なぜなら、データの数が多いほど高く売ることができるからです。
「値上げしても売れるバックエンド商品」のために、
「フロントエンド商品を値下げして売る」ということですね。
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