※2021年12月14日配信メルマガVol.154より抜粋(一部加筆修正あり)
特許を取る際は「特許請求の範囲」の記載内容がカギ
特許を出願する時は、
出願する人や発明した人の名前や住所などを書いた「願書」と、
権利を取りたい内容を書いた「特許請求の範囲」と、
その内容を詳しく説明した「明細書」と、
概要をまとめた「要約書」と、
あとは「図面」を提出します。
2つ目の権利を取りたい内容を書いた「特許請求の範囲」は、
ここがまさに「特許」と呼んでいる部分であり、
当然一番重要なところですが、
一番表現するのが難しいところでもあります。
というのも、権利を広く取りたいと思って広く書きすぎても、
他の権利に引っかかりやすくなってしまいますし、
範囲を絞って狭く書きすぎても、
これまた他の似たような権利がでてきて、
あまり使えない特許になってしまうので、
さじ加減が難しいんですね。
だから、必然的に、1つの権利を取るのに、
ものすごい工夫を凝らした文章をつくることになるので、
文章が長くなるのが通常なんですね。
たぶん、普通の人は読んでもよくわからないような特殊な表現の仕方をしています。
日本一文字数の少ない特許!?
そんな中で、たぶん日本一文字数の少ない特許なんじゃないかな、
というものが紹介されていたので、そちらをご紹介いたします。
それは、日本水産株式会社が取得した
「凍結ゼリー入り飲料。」
以上です(特許第2920767号)。
ええー?って感じですよね(少なくとも特許に関わったことのある人は驚くんじゃないでしょうか)。
凍らせたゼリーが入ってる飲料ですからね。
「発明の名称」ではなく、
「請求項」がたった10文字。
こんなのが特許になるんかい?と。
この特許はすでに権利消滅
見てみると、
平成10年(1998年)7月7日に出願されて、
平成11年(1999年)4月30日に登録されています。
今から22年前です。
特許は出願から20年で権利消滅するので、
すでに権利は存在しません。
というか、この件に関しては、
途中で特許料を納付しなくなったので、
2008年に権利消滅しています。
なので、今は、凍らせたゼリーが入ってる飲料を作ったからといって、
直ちに訴えられるということはありません。
もちろん、他の権利に引っかかる場合はありますが、
「凍結ゼリー入り飲料。」という特許はもうないんですね。
いずれにしても、こんな内容でも特許になることもあるんだということが、
お分かりになったのではないかと思います。
長ければ特許になるというわけでもないし、
短いとダメってこともありません。
特許特有の文章の書き方
ちなみに、こちらの特許は、
「凍結ゼリー入り飲料」の内容をさらに限定した、
いくつかの発明が含まれています。
例えば、この「凍結ゼリー」が
「シャーベット状」であるという発明や、
「粗く砕いた」ゼリーであるという発明、
「角型に切った」ゼリーであるという発明、
といった感じです。
このように、1つ目に一番シンプルな形の特許を持ってきて、
2つ目以降に、それを少し限定していろんな応用タイプを持ってくる、
という形式も、特許特有の文章の書き方になります。
以上、特許ってこんな感じで取るんだなと、
知っていただければ幸いです。
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