特許を取るなら資金力ある企業と組む

特許を取るなら資金力ある企業と組む

※2021年1月12日配信メルマガVol.106より抜粋(一部加筆修正あり)

特許を取るより大事なこと

年末に高校の友人たちとZoom飲み会をしていて、
ふと特許の話になりました。

なんでも、新しいアイディアを発明したとの話。
みんながいる中だったので、内容を話すと公に知られたことになり、特許は取れません
その場では「あまり詳しく話さないで、個別に相談して」とお伝えしました。

それで、その人はとある医療関係の職場に勤めているのですが、
勤め先がそのアイディアにかかわる製品を製造販売しているわけではありません。
つまり、せっかく特許を取れたとしても製品化できるか不明です。
なので、もし特許を取りたいということでも、
個人で取るより、そのアイディアを必要としている会社を探すことの方が先なんですね。

特許はかなりお金がかかる

そして、いざそのアイディアを必要としている会社が見つかったとしても、
自分で特許出願をするのかどうかという問題もあります。

特許出願は、出願時だけでなく、特許庁に審査してもらうための審査請求時
審査の結果、拒絶理由が出た場合の拒絶応答時
いざ「特許OK」の特許査定が出た場合の特許査定時
特許後に権利を維持するために必要な特許料納付時の各段階で費用がかかります。
内容にもよりますが、トータルで70~80万円(特許後の維持費用も考えると100万円)を超えることはざらなので、
これを個人で負担するのは流石に大変です。

また、日本だけでなく、海外でも出願する場合は、権利化を希望する各国で手続をしなければなりません。
海外出願は翻訳費用もかかるし、現地の弁護士・弁理士への依頼の費用も、
日本とは比較にならないケースがあります。

特許権の行使も大変

さらに、せっかく特許を取ったとしても、
似ている技術を使っている会社に対して、
「無断で使わないで」と特許権行使するのは、さらに大変
訴訟費用も莫大にかかる上に、
裁判が終わる頃には技術自体が古くなってしまうこともあります。
せっかく苦労して取った特許が、果たしてなんの役に立ったんだ?となることもあるので、
私としては、個人での特許取得はあまりおすすめしていません

資金力ある大企業と二人三脚で特許取得した事例

こういった事情をよくわかった上で、うまく特許を活用していた、
岡野工業」という会社がありました(後継者不在のため2018年に廃業)。
世界中から注文が殺到する金型・プレス技術を持つ下町の町工場で
極細の「痛くない注射針」を開発した会社です。

開発を依頼してきたのは、注射針業界No.2の「テルモ」。
どこに頼んでも「技術的に不可能」と断られ続けましたが、
最終的に行き着いた岡野工業が引き受けることになりました。

その際に、岡野工業は技術を提供する代わりに、
特許に関する費用は全部テルモに払ってもらうことにしたのです。
特許の名義も、テルモと岡野工業の共同名義
共同名義のデメリットはあるものの、
本当の意味で技術を守るために、
資金力のある大会社と二人三脚で特許を取得したというわけですね。

これも、岡野工業に、誰にも負けない技術力があったからこそできたこと。
その上で、ちゃんと生かせる特許にするために、
大企業さえも巻き込んだことが、
「痛くない注射針」の「岡野工業」というブランドに繋がったのです。

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