※2020年3月3日配信メルマガVol.61より抜粋(一部加筆修正あり)
ミルクボーイの漫才は誰がやっても面白くなるのか?
昨年のM1チャンピオンに輝いた「ミルクボーイ」。
彼らの漫才のフォーマットは汎用性が高く、
いろんなネタを当てはめて展開できる点が、とても評価されています。
もちろん、同じフォーマットなら誰でも面白くできるかというと、そうでもありません。
その展開の仕方というか、言葉のチョイス、間の取り方など、
このフォーマットに合うように磨き上げてきた高度なスキルと、彼らのキャラクターがあるからこそ、面白い漫才になるんですね。
つまり、うまくいったフォーマットがあっても、スキルやキャラクターなどの自分達の強みに合わなければ、笑いにつながらないのです。
成功した他社の戦略や戦術が、自社でうまくいくとは限らない
そしてこの点が、経営でいう「戦略」「戦術」と「企業の強み」の関係にも似ているなと思いました。
「戦略」は事業全体の組み立てのことで、「戦術」はその事業の具体的な進め方のことです。
うまくいった戦略や戦術を真似しても、自社の強みと合っていなければ、同じようにうまくいくとは限りません。
例えば「ZOZO」は、若者に魅力的なブランドを集めるプラットフォーマーとして、発展してきた強みがあります。
にもかかわらず、「ZOZOSUIT」を配ってやろうとしたPB(プライベートブランド)事業や、会員制割引サービス「ZOZOARIGATO」により、
ZOZOに出店しているブランドと、そのブランドを好きな顧客からの信頼を失って、失敗してしまいました。
安いPB&割引サービスのせいで、価値を維持したい出店ブランドと無駄な競争をしてしまったんですね。
一方、「セブンイレブン」のPB「セブンプレミアム」は、失敗していません。
顧客は商品のブランド目当てで足を運んでいるわけではないから、
別にPBだろうがNB(ナショナルブランド)だろうが、
好きな方を選ぶから問題がないのです。
つまり、PBが良いとか悪いとか、割引が良いとか悪いではなく、
「戦略」と「戦術」が、その会社の強みに照らして適切かということなんですね。
より重要な「戦略」を真似するには?
ちなみに、「戦略」8割、「戦術」2割と言われるほど、
「戦略」の方がより重要と言われます。
なぜかというと、「戦略」、つまり「戦いをはぶく、かんたんにする」と書くぐらいなので、
「いかに無駄な競争に巻き込まれずに、有利に勝つか?」
を組み立てることだからなのですね。
「戦略」=「いかに無駄な競争に巻き込まれずに、有利に勝つか?」と考えると、
同業の「戦略」を真似することは、その後の「戦術」勝負ということになります。
具体的には、マーケティング力や営業力等で差がつき、
それらがない場合は、価格競争に行き着く流れだと思います。
したがって、「戦略」を真似するなら、同業者からではなく、
例えば、ヤマト運輸が吉野家にヒントを得て、取り扱い商品を絞る戦略を取ったように、
他の業界から真似して、自分の強みに合うようにチューニングすることが、
同業にはない新しいビジネスを作り、「勝ち易きに勝つ」ことにつながるのではないでしょうか。