盗みのすすめ 2020年8月6日 2020年8月8日 メルマガバックナンバー※2019年1月8日配信メルマガ創刊号より、一部加筆修正の上抜粋さて、米Appleの創業者、スティーブ・ジョブズが引用した “とある言葉”が大変興味深かったので、ご紹介します。「Good artists copy, great artists steal.」 (優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む)これ、誰の言葉かご存知ですか?実は、20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソの言葉なんです。例えば、ピカソの「朝鮮の虐殺」という(ちょっと怖い)作品は、 フランシスコ・ゴヤの「マドリード、1805年5月3日」や、 エドヴァール・マネの「皇帝マキシミリアンの処刑」の構図を モチーフにしていると言われています。それでもちゃんとピカソのオリジナリティが表現されているのは、 表面を“模倣”するのではなく、 深層や本質を“盗んで”いたからなんですね。そんなピカソの言葉を引用したジョブズのAppleも、 iPhoneのデザインはSONY風にデザインされたものであることが、 「Apple vs Samsung」の裁判資料内で明らかになっています。 (下記リンクのP7参照) http://assets.sbnation.com/assets/1257891/Samsung_unredacted_trial_brief.pdf上記リンク内で示されているのは、実際のSONY製品ではないのですが、 ジョブズは「もしソニーがiPhoneを作ったとしたら、どんなものになるだろうか?」 と問いかけて、デザイナーにモックアップを作製させたのです。実際の製品を横に置いてマネしたら、知的財産の侵害になり得ますが、 企業文化や製品コンセプトといった、高い抽象度のレベルでマネしたら、 なんの権利も侵害することにはなりません。 これも、表面上をパクった“模倣”ではなく、 本質をパクった“盗み”のいい例ですね!知的財産(知財)を扱う弁理士というと、 「独創的な発明をして、特許を取りましょう」 「真似されないように知的財産権を取りましょう」 「知的財産権を取って独占しましょう」 など、現実離れしたことを言いそうなものですが、“知財の限界”を把握した上で、 「いいものはどんどん拝借する」 「パクられても仕方のない部分もある」 「独占ではなく、オープンにする方がよい場合もある」 と考えた方が、 知財を有効に活用できるのではないか? と思います。よい事例は、上手に“盗んで”いきたいものですね。【サムライツ(R)】公式メルマガ(無料)姓 *名 *メールアドレス *共有:Tweetいいね:いいね 読み込み中…関連